日本にはいくつかの調査があり、調査によりその定義や結果が異なっているが、本稿では紙面の制限もあるので、
フリーランスやクラウドソーシングの現状のみを紹介したい。
まず、ランサーズ株式会社の「フリーランス実態調査2017年版」によると日本におけるフリーランスの数は2017年現在
1122万人で労働力人口の17%を占めていた。これは1年前の調査に比べて5%も増加した数値である。
フリーランスの働き方は、常時雇用がベースだが副業でフリーランスの仕事をこなす「@副業系すきまワーカー」、雇用形態に関係なく、
複数の企業の仕事をこなす「A複業系パラレルワーカー」、特定の勤務先はないが、独立したプロフェショナルである「B自由業系フリーワーカー」、
個人事業主または法人経営者で経営しているオーナーである「C自営業系独立オーナー」という4つのタイプに区分される。
この中から副業系すきまワーカーは458万人で2016年の416万人と比べて32万人も増加しており、その増加が目立っている。
政府は働き方改革の一環として正社員の副業や兼業を後押しする方針を打ち出し、年度内を目標に企業が就業規則を定める際に参考に使用できる
厚生労働省の「モデル就業規則」の副業・兼業禁止規定をなくし「原則禁止」から「原則容認」に転換する方針を決めており、
今後、副業系すきまワーカーはさらに増加すると予想されている。
2017年時点のフリーランスの平均年収は、収入が最も多い「自営業系独立オーナー」でさえ350万円で、
雇用者の平均給与420万円(国税庁「平成27年分民間給与実態統計調査結果」)を下回っているなど、
フリーランスの多くが収入が安定していない状態で労働市場に参加している[図表2]。
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56486?site=nli