2017年9月24日(日)
重度の知的障害者、傷害容疑で逮捕 さいたまで補助なく刑事手続き、専門家「有効でない」警察「適正な措置」
重度の知的障害者の男性(30)=さいたま市=が今年6月、市内の施設で別の利用者を負傷させたとして、傷害容疑で逮捕、送検された。
男性は勾留されずに釈放されたものの、刑事手続きの中で、障害特性を理解してコミュニケーションを補助、支援する人の立ち会いはなかった。
専門家は「刑事手続きは有効とは言えない」と指摘。逮捕した大宮東署は「適正な措置だった」としている。
男性は重度の知的障害と自閉症で、厚生労働省の障害者支援区分6段階のうち2番目に重い障害で、コミュニケーションを取るのが困難だという。
会話の内容や状況を理解できず、相手の言うことに対して相づちを繰り返す傾向がある。
知的障害者が入所する施設でトラブルが起きたのは6月26日午後6時半以降。
男性と50代の男性利用者(障害の程度は中程度)が鉢合わせし、室内で利用者が頭にけがをした。
何らかの形で、男性がけがを負わせたとみられる。
※中略
翌27日朝、署員は裁判所の令状に基づき、職員の付き添いの上で男性に任意同行を求め、傷害容疑で逮捕した。
だが、逮捕状などを説明する際、支援者や専門職の立ち会いはなかった。
この点について、知的障害者の刑事事件に詳しい大石剛一郎弁護士は
「障害特性を理解してコミュニケーションを支援する人の立ち会いがなければ、有効とは言えない」と指摘する。
施設職員は「会話の内容を理解できない人に対し、どのような手続きで、逮捕送検に至ったのか」と疑問視する。
男性はさいたま地検に送検されたが、勾留請求されず、6月28日に釈放され、後に不起訴となった。
※以下略
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/09/25/03_.html