郵政民営化10年 元担当相の竹中平蔵氏 「株式売却で完全な民営に」
元郵政民営化担当相の竹中平蔵慶応大名誉教授に、郵政民営化からこれまでの10年について聞いた。
−−民営化の評価は
「大きな流れは達成できている。ただ、2007年から10年で完全民営化に持っていく計画が、民主党(当時)政権下で中断されたのは残念だった」
−−民営化で何が変わったのか
「多くの関係会社が暴利をむさぼる構造が修正された。また現金を引き出さなくても、民間銀行から郵便局の口座に送金できるようになった。間違いなく良くなった」
−−民営化が進めば、全国一律サービスが今後、損なわれないか
「それは既得権益を守りたい人の議論だ。全国一律サービスのために郵便局の設置基準を設けており、旧日本郵政公社時代より閉鎖する郵便局数は少なくなったはずだ」
−−郵便事業は成長の余地が小さい
「まったく逆だ。海外にものすごい成長分野を持っている。企業買収を自由にできるよう(政府は)早く株式を売却しないといけない」
−−ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の完全民営化は道筋が見えない
「早く株を売却して完全な民間企業になることだ。暗黙の政府保証がある状況だと、民業圧迫になるので自由な経営ができない」
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【プロフィル】竹中平蔵
たけなか・へいぞう 1951年生まれ。73年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)。郵政民営化担当相などを経て2016年から現職。和歌山市出身。66歳。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170930/mca1709300500002-n1.htm