逮捕されたスパコン社長と自民党大物政治家の「疑惑の接点」
山口敬之氏との関係
「天才であるのは間違いない。でも、ホラ吹きであるのも確か。結局、どちらが優先するかと
いうことで、私は天才を認めたが、検察は『ホラ吹き』であるのを許さなかったということでしょう」
東京地検特捜部は、5日、「スーパーコンピューター(スパコン)の小型化、省エネ化の旗手」とい
われたペジーコンピューティング(東京都大田区)の斎藤元章容疑者(49)が、助成金を不正に受
け取ったとして逮捕された。斎藤容疑者と長時間にわたって対談したことのある人工知能(AI)の
研究者は、事件をこう結論づけた。
ベンチャー界隈の事情に詳しい人ほど、「斎藤逮捕」に同情的だ。斎藤容疑者は、国立研究開発
法人「新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)」の2012年度の研究開発費補助金の対象と
された事業で、14年2月、費用を水増しした虚偽報告書を提出、約4億3000万円をだまし取ったという。
水増し請求は間違いなかろう。申請書類だけに証拠も残っている。だが、研究成果はウソではない。
ペジー社が開発した省電力スパコンの「暁光」は、毎秒約1京9000兆回(京は兆の1万倍)の計算速度を
記録し、11月に発表されたスパコンランキングで計算速度部門第4位だったという。
他にも省エネ性能の「グリーン500」でも首位となり、日経地球環境技術賞を受賞するなど期待の星で、
マスコミへの露出が多く最も知られたスパコン開発者だった。12月11日放送のNHK人気番組「プロフェッシ
ョナル仕事の流儀」で登場を予定しており、NHKは急遽、差し替えたという。
一方で、斎藤容疑者が著作や対談で語るスパコンの夢は、荒唐無稽と受け取られることが多かった。
例えば、次のような衝撃的な未来である。
<人は生きるために働く必要のない「不労」の社会を手に入れます。やがて人体のメカニズムが革新的に
解明されることで、人類は「不死」も手にすることになるでしょう>
「不老不死」は、錬金術師や魔術師の世界。ついていくのは難しいが、新潟大医学部を卒業した医師で、
渡米したシリコンバレーで数々の企業を立ち上げ、帰国後は、「2番ではダメ、日本を1番にする」と、
スパコン業界をリードする斎藤容疑者には、彼を信じるコアなファンがいて、支える業界関係者が少なから
ず存在した。
しかし、「壮大な夢」に取り組むのにもおカネが要る。「2年後に世界初の次世代型スパコンを完成させたい。
そのためには300億円が必要だ」と、訴えていた。
その“夢”を手助けしていたのが、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏だった。
つづく
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53744