県の復興借金、いまだ4386億円 重い地元負担
2018/01/16 23:34
6434人が亡くなり、3人が行方不明となった阪神・淡路大震災は17日、発生から23年を迎える。震災が奪ったもの、残したもの、伝えていくこと−。被災地は「あの日」と向き合う人々の思いで包まれる。
行政の取り組みにも終わりはない。兵庫県は「防災庁」創設など防災行政の意義を全国に発信する一方、今も後遺症にあえぐ。被災自治体の多くが危機的な財政状況を脱した中、復興事業に要した県の借金はいまだ約4千億円残っており、老朽化が進む県庁舎の建て替えなど、今後の備えにも暗い影を落とす。(黒田勝俊)
県は震災半年後の1995年7月、10年間の復旧・復興計画「ひょうごフェニックス計画」を策定。「創造的復興」を掲げてインフラや福祉、防災など多岐にわたる事業を展開し、県の負担は2兆3千億円に上った。
うち1兆3千億円を県債発行(借金)で賄ったが、公債費(借金返済額)が膨らみ、歳出が歳入を上回る「収支不足」を、基金(貯金)や新たな借金で穴埋めした。
収支不足が1120億円に達した2008年度からは、職員の給与や定数削減など11年間の行財政構造改革(行革)に着手。18年度には、震災後初めて収支不足を解消する見通しだが、震災関連の借金残高は4386億円(16年度決算)。
将来の借金負担の重さを示す将来負担比率は324・7%(同)と都道府県別で10年連続のワーストとなり、「すぐに脱するめどは立たない」(県財政課)とする。
「不公平だ。阪神・淡路が先に起きたからなのか」。県議会からはこんな声も上がる。
背景にあるのは、11年3月の東日本大震災。国は11〜15年度を東日本の集中復興期間と位置付け、復旧・復興事業の地元負担を実質ゼロにした。
被災自治体の財政が逼迫(ひっぱく)した阪神・淡路の教訓が生きたともいえるが、震災の借金に対する措置を今も求める兵庫県に、国が応える様子はない。
※以下略
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201801/0010903552.shtml