スペイン産ニンニク 輸入急増 5年で40倍 国内産地に危機感
スペイン産ニンニクの輸入量が急増している。財務省の貿易統計によると、2017年は1335トンと5年で
約40倍に急拡大。これまで価格の安い輸入物は、業務需要が中心だったが、中国産より安全性をうたいやすい
スペイン産は、小売りでも引き合いがある。家庭で「アヒージョ」など洋風のニンニク料理を作る機会が増えたことも
影響している。国産は小売り、輸入物は業務・加工用のすみ分けが崩れる恐れがあり、国内産地は「需要が奪われかねない」
と危機感を強めている。
ニンニクの総輸入量は近年増えており、17年は2万916トンと過去5年間で最多となった。中国産が9割以上を占めるが、
「消費者の安全性への懸念から、産地を表示して販売する小売りの動きは鈍く、業務や加工用の取引が中心」(卸売会社)と
国産とのすみ分けがなされてきた。
それが変わりつつある。家庭でスペイン料理などニンニクを使った炒め物や煮物を調理する機会が増え、
「スペイン産へのニーズが高まっている」(輸入商社)。12年は輸入物が34トンしかなかったが、中国産の
代替需要も重なり、17年には総輸入量の6%強を占める。
輸入商社は「スーパー中心に販路が広がっている。取扱量は右肩上がり」と説明。食の安全基準に厳しい
欧州連合(EU)での生産を背景に、「安全性をアピールし、販促をかけている」と強調する。
東京都内のスーパーは、スペイン産を1個98円(税別)と、国産より安く販売する。「売り上げは前年より
1割以上伸びている」という。
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