中国の全国人民代表大会で、国家主席の任期を事実上撤廃する憲法改正案が3月11日に採決された。
習近平国家主席が任期切れを迎える2023年以降も主席にとどまり、終身で務めることも可能になる。権力集中がさらに進むことになるだろう。
この背景にあるのは、デジタル技術の活用で形成されつつある史上最強の権力基盤だ。
これを「デジタル・レーニン主義(Digitaluse Leninism)」と呼び、習政権がAIを活用して、新しい統治システムを構築するだろうとの見方がある。
これは、AIが進化するとシンギュラリティ(技術的特異点)が生じて人間を支配するというようなAI脅威論とは異質のものだ。空想上の出来事ではなく、いま現実世界で進行しつつある問題である。
監視カメラシステムと公民身分番号
AIを駆使した中国の国民監視システムの代表として、「天網」がある。街中にある監視カメラが、顔認証技術で人や車の動きを追跡・判別し、犯歴データと照合する。通行人の性別や年代、服装などを瞬時に識別できる。
カメラ台数は、BBCの報道では、1億7000万台だ。
顔認証ができるサングラスを警官がかけて、犯罪者の取り締まりを行うことも開始された。人混みを眺めるだけで、視界に入った人々の顔をスキャンし、その情報をもとに、データベースに登録された容疑者を照会して特定する。
こうした監視システムを運用する基礎は、政府が運営する全国民の個人番号システムだ。
中国では、満16歳になると身分証を交付される。ICチップが内蔵されており、氏名・性別・民族・生年月日・住所、顔写真、そして18桁の「公民身分番号」が記録されている。公安部(警察を担当する中央官庁)が管理する
公民身分番号は、納税や銀行口座開設などの際に必要であり、ホテルに宿泊するときや、高速鉄道や飛行機の切符を買うときにも提示が求められる。
身分証は、2017年末から電子化(オンライン化)された。現在は限定的だが、いずれ全国に拡大される。そうなれば、政府にとってさらに強力な国民管理の手段になるだろう。
なお、中国には全国民の戸籍、経歴や賞罰などを記録し、行政が管理する「人事档案(タンアン)」という制度が、昔からあった。
思想・信条・発言内容 などの個人情報を集めたファイルで、個人一代だけでなく、祖父母の代にまでさかのぼって情報を集めてあるという。
計画経済時代には、進学や就職、昇進などに利用されていた。しかし、電子化が進んでおらず、近年は重要性が低下していると言われる。
詳細な個人情報も収集されている
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AIは何を変えたのか
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レイティングや監視を支持する意見も中国にはある
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デジタル共産主義と究極の独裁者
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ソース元
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180312-00054753-gendaibiz-int
おしまい。