対策として地方で広がったのが、大学医学部の地域枠だ。政府も医学部の定員の臨時増員を認めるなどして地域枠を後押しした
。文部科学省によると、地域枠の募集人員は08年度に403人分(33大学)だったが、17年度には全都道府県に広がり、全医学部定員の18%の1674人分(71大学)と4倍に増えた。
定員に占める地域枠の割合は札幌医大(82%)が最も高く、福島県立医大(59%)、旭川医大(59%)、東北医科薬科大(55%)、
弘前大(51%)と続く。東北地方の医学部教授は「地域枠がなければ地域医療は崩壊する」と言う。
厚生労働省は医師確保を後押ししようと、地方の実情に合わせて知事が大学に地
域枠の創設や増加を求められるようにする医療法・医師法改正案を今国会に提出。参議院を通過し、衆議院の審議待ちの状態だ。
地域枠は医学部入試を変えている。秋田大の地域枠の入試は筆記試験がなく、高校の推薦、
センター試験、面接、論文で選抜している。秋田県は入学金と月15万円
(自宅生は10万円)の奨学金を貸し、国家試験合格後、県内で原則9年間勤めれば返済を免除する。地域枠の一つの典型だ。
奨学金の対象者を広げる動きもある。静岡県は年間に、浜松医大(浜松市)の20人と、
岡山県内の川崎医科大、東京都内の順天堂大など全国の100人に奨学金を貸す。静岡県内で原則9年間働けば、年間最大240万円の奨
学金の返済を免除。将来の選択肢を増やせるよう、一定期間、県外での勤務や留学ができるようにしている。県は年間約12億円を投じており、最近11
年間に全国73大学の973人が利用した。うち536人は在学中、303人は
既に県内に勤務している。鳥取県も、出身地も学ぶ大学も問わない奨学金の枠を10人分設けるなど幅広く確保に動いている。
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