この1年、日雇派遣などで食いつないでいるというユウスケさん(34歳、仮名)が、
スマートフォンのアプリを開いて見せてくれた。宅配便ドライバーの助手、倉庫内での仕分け作業、
居酒屋――。そこには、1日限定のさまざまな求人情報が掲載されていた。
日雇派遣は原則禁止されているはずだが…
あり得ない――。現在、日雇派遣は原則、禁止されているはずだ。リーマンショックが起きた際、
不安定な日々雇用が社会問題となったことから、2012年に労働者派遣法が改正され、
派遣会社との契約が31日以上、年収500万円以上などの諸条件をクリアするか、
ソフトウエア開発といった専門性の高い業務でなければ、日雇派遣は認められなくなった。
私がそう告げると、ユウスケさんは「ええー! そうなんですか。じゃあ、この仕事、全部、
違法なんですか」と驚きの表情を見せた。
(中略)
路上の落ち葉清掃の仕事では、現場を仕切っていた社員からユウスケさんら派遣労働者は
事務所内のトイレではなく、近隣の公園の公衆トイレを使うよう命じられた。
仕事中、暖を取るために設置されたストーブを囲む輪にも派遣労働者は近づくことを禁じられた。
派遣労働を「多様な働き方」などと言う人もいるが、これではただの「身分差別」である。
この間、同じ仕事でもインターネットに掲載される給与のほうが、アプリに通知される給与より
高いことにも気が付いたという。「たとえば、ネットだと日給1万円なのに、
アプリでは7000円といった具合です」。事実なら、同一労働同一賃金の原則にも反するが、
ユウスケさんが派遣会社に確認したところ、期日、内容ともに同じ仕事だと認めた。
「(インターネットという)オープンサイトのほうには高い給与を提示し、
できるだけたくさんの人を釣って派遣会社に登録させることが目的なんじゃないか」と推測する。
https://toyokeizai.net/articles/-/210985