https://www.sankei.com/politics/news/180919/plt1809190025-n1.html
自民党総裁選(20日投開票)に立候補した安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長は19日、それぞれ街頭で「最後の訴え」を行った。
しかし、所属国会議員の圧倒的支持を固めた首相の優位は揺るがず、選挙戦での政策論争は最後まで盛り上がらなかった。それだけに、
党員・党友票の投票率は伸び悩んでいる。(沢田大典)
「無駄な批判はしない。愚直に政策を作り、誠実に前に進めていく」
首相は19日夕、東京・JR秋葉原駅前でこう語り、具体的な数値を交えながら景気回復や外交など政権の実績を訴えた。秋葉原は、
首相が総裁として自民党を大勝に導いた過去3回の衆院選と2回の参院選でも最後の演説をした場所だ。
演説には、岸田派会長の岸田文雄政調会長ら首相を支持する党内5派の幹部が結集し、支持の広がりをアピールした。麻生派を率いる
麻生太郎副総理兼財務相は「冷や飯を食うぐらいの覚悟のない人に、日本のかじ取りを任せるわけにはいかない」と石破氏を牽制した。
一方、石破氏は同日夜、東京・JR渋谷駅前でマイクを握った。演説会には、谷垣グループの中谷元・元防衛相らも参加した。石破氏は
公約の柱とする地方創生や社会保障改革の重要性を訴えつつ「圧力が加えられるような、自分のいうことは聞く人間しか使わないような
首相官邸であってはならない」とも述べた。
石破陣営は、首相への批判が党員票の上積みにつながっていると分析。演説での発言は、森友・加計問題や、首相周辺から石破派の
斎藤健農林水産相に「辞任圧力」がかかったとされる問題が念頭にあったとみられる。
演説に先立ち、首相と石破氏はそれぞれ衆参両院の議員会館の議員事務所を回り、名刺を配って支持を呼びかけた。首相はわざわざ直筆の
メッセージを書き込む熱の入れようもみせた。
舌戦の激化とは裏腹に、平成24年以来、6年ぶりに選挙戦となった総裁選としては投票率が低調だ。都連幹部によると、18日現在で都内の
党員票の投票率は55%。東北では4割台に低迷している県もあるという。
24年は東京で64・5%、全国で62・5%だっただけに、関心の低さは否めない。首相陣営には「首相支持なのに首相の圧勝ムードが
報じられているため投票に行っていない人が多いのではないか」との危機感もある。