科学や数学の分野において男女に成績の差があるのか、160万人の高校生のデータから判明したこととは?
科学・技術・工学・数学の教育分野を指すSTEMは「女性よりも男性の方が向いている」というステレオタイプがいまだ存在します。
では実際に性別によって差異はあるのか?と、160万人の高校生の成績を男女で比較した結果が発表されています。
研究者によると、STEM分野における男女のギャップは「Variability hypothesis(変動仮説)」によるとのこと。
変動仮説は、「女性に比べ、男性は性質の変動が大きい」とする考えで、認知能力に関して「女性は男性に比べて知性が低い/高い」という議論においってしばしば用いられてきました。
実際に男女で能力に差はあるのか?ということを確かめるため、今回、研究者はメタアナリシスでグループ間の違いをテストする方法を開発。
この方法を用いて、これまでに行われた研究結果のデータを使用し、学術パフォーマンスにおける変異性をテストしました。
この時データとして使われたのは1931年から2013年までに268の異なる高校およびクラスに通った160万人の生徒の成績で、その多くが北アメリカを中心とした英語話者だったとのこと。
それぞれのグループで、男女の変異性と平均スコアにどのような差があるのかが計算されました。
その結果、STEMにおいて少年・少女の成績分布は似通ったものだったといいます。
STEMではない科目で最もジェンダーギャップがあったのは英語で、少女は平均7.8%評価が高く、少年に比べて変異性が13.8%小さかったとのこと。
STEMにおける少女の変異性は少年よりも7.6%低かったため、研究者は次に、この値がSTEM分野の大学入学における女性の少なさを説明するのかをシミュレーションで確かめました。
シミュレーションの結果、大学におけるSTEMのクラスでトップ10%に入る生徒の数は男女で等しいことが示されたとのこと。
トップ20%の成績であれば著名な大学で科学の勉強をするのに十分であり、7.6%というジェンダーギャップは、「STEM分野に進む女生徒が少ない」ことの直接的な理由になっていないと研究者は述べています。
つまり、Summers氏が言うところの「適性の変動においてジェンダーの差が存在する」という主張は全てが間違っているわけではありません。
変異性は確かに存在し、これが「傑出した人物は男性だ」という見方につながっているといえます。
ただし、成功した科学者の多くは「普通に勤勉な人々」であり、そのほかの例外的な能力が必要だという人々の思い込みが、男女不平等を継続させている可能性があると研究者は述べています。
https://gigazine.net/news/20181015-gender-difference-in-maths/