【社説】国連の北朝鮮人権決議案、韓国は賛成の態度を明確にせよ
国連が北朝鮮人権決議案の採択に向け動き出したことと関連し、国際人権団体では韓国政府に対し
「北朝鮮の人権問題から顔を背けている」といった批判が相次いでいる。
先週来韓したヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス事務総長は会見で
「人権弁護士と言われる文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮の人権問題に関する議論を拒否しているが、
これは非常に近視眼的なやり方だ」と指摘した。
米国のNGO(非政府組織)北朝鮮人権委員会(HRNK)も
「韓国政府は人権団体が北朝鮮に飛ばそうとしているUSBメモリーにまで検閲を行った」として韓国政府を批判した。
国連で北朝鮮の人権問題を担当するキンタナ特別報告者は「南北あるいは米朝首脳会談後の声明に、
北朝鮮の人権問題への言及がなかったことを懸念している」と述べた。
国連で先月末に提出された北朝鮮人権決議案は今月中に委員会で議論され、来月の本会議で最終的に採択される見通しだ。
北朝鮮における人権じゅうりんはすでに世界で広く知られているが、つい先日公表された現状もあまりにも悲惨だった。
脱北しようとして拘束された女性たちは尋問を口実に毎晩性的暴行を受けており、
また町の市場で取り締まりや監視を行う官吏は女性たちに日常的に性的暴行を加えているという。
さらに北朝鮮の各地では今も公開処刑が行われており、
政治犯収容所には12万人以上が捕らえられ暴力や強制労働に苦しんでいる。
韓国のリベラル陣営は北朝鮮におけるこれら悲惨な人権問題から完全に顔を背けている。
韓国政府は北朝鮮における人権侵害の事例を収集する情報システム関連の予算を大幅に削減し、
また財政面での損失を理由に北朝鮮人権財団設立事務所も閉鎖した。
文大統領は先月外信によるインタビューの際「世界的な人権弾圧国の指導者との握手に何も感じなかったのか」との質問に
「国際社会が圧力を加えたからといって、人権問題がすぐ改善するわけではない」と述べた。
これでは与党・共に民主党の関係者が北朝鮮のマスゲームを観覧し
「一糸乱れない様子はすごかった」などと平気で語るのもある意味当然のことだ。
韓国政府が主張するように、北朝鮮が本当に非核化の決断を下しているのであれば、
人権問題もこれ以上避けて通れないという事実も当然理解しているはずだ。
最低でも中国のレベルにまで人権問題が前進しない限り、米国との貿易や国際社会への進出は不可能だ。
韓国政府は北朝鮮にこのような事情を説明し、人権問題を少しでも改善させるよう努力しなければならない。
韓国外交部(省に相当、以下同じ)の康京和(カン・ギョンファ)長官と統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は
いずれも国連の北朝鮮人権決議案について「賛成する」との考えを表明している。幸いなことだ。
文在寅政権がこれに賛成すれば、北朝鮮に強いメッセージを送ることにもつながるだろう。
一方の北朝鮮は人権決議案について「いかさま」などと反発している。
韓国政府が急に考えを変え、人権決議案に棄権しないことを願うばかりだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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