過去最高の件数・金額だった2018年のM&A、最も存在感を示した企業
海外の大型買収案件が増え、19年ぶりに更新
日本企業が関連するM&A(合併・買収)が活発だ。2018年に日本企業が関わったM&Aは、
金額・件数ともに過去最高となった。足元の株式市場は米中貿易摩擦の長期化懸念や
中国の景気減速などの要因で安定さを欠くが、日本企業の稼ぐ力は培われている。豊富な資金力を背景に事業拡大につなげたい。
M&A助言会社であるレコフ(東京都千代田区)によると、18年の日本企業が関わったM&Aの金額は、
前年比約2・2倍の29兆8802億円だった。海外の大型買収案件が増えたことで、99年以来19年ぶりに過去最高を更新した。
件数は同26・2%増の3850件だった。前年を上回るのは7年連続となる。
武田薬品工業が約7兆円を投じてアイルランド製薬大手のシャイアーを買収。日本企業による海外企業買収では過去最高額となり、
武田は製薬業界で日本企業初となる世界10位以内に入ることになった。またソフトバンクグループ関連では、
米ウーバー・テクノロジーズへの資本参加など51件、総額で約9兆円超を占め、マーケットでの存在感を高めた。
M&Aにより市場や製品を獲得し、売り上げや利益を最大化することに加えて「イノベーションや
企業価値の向上を実現する手段としての活用が重要になっている」と、大和総研の弘中秀之主席コンサルタントは指摘する。
15年にコーポレートガバナンス・コードが適用開始となり、株主や投資家への説明責任が強く求められるようになった。
「どのような成長をしていくのか、その手段の一つが海外M&Aにつながった」(弘中主席コンサルタント)と見る。
19年についてもレコフは、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など技術革新に伴うベンチャー投資のほか、
事業承継案件も多いと推測している。世界情勢や為替、株式市場に負のサプライズがなければ、
19年の件数は18年の水準を維持しそうだと見込む。
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