アニメ界の「転生ブーム」は、年齢の壁・ジェンダーの垣根を越えるか。
アニメ・ライトノベルのジャンルで「転生もの」「異世界もの」が大人気となっています。
一度死んだ主人公が、まったく違う世界で生を得て大活躍するというストーリー。ヒットの裏には、業界の事情、時代の変化が見てとれます。
転生したら島耕作だった?
この春、マンガ雑誌「イブニング」(講談社)誌上において、ある作品が話題となっています。
それが「転生したら島耕作だった件」。これは国民的マンガ「島耕作」シリーズと、「転生したらスライムだった件」という作品のコラボ企画です。
「転生したらスライムだった件」とは、小説投稿サイト「小説家になろう」をきっかけにライトノベル化、マンガ化、アニメ化されている、超ヒットコンテンツ。
ストーリーは、通り魔に刺されて死んだ会社員の主人公が、異世界の洞窟でなんとスライムとして生まれ変わる、というもの。
「転生したら島耕作だった件」は、主人公が生まれ変わったら37歳の島耕作だった、という設定で展開されるスピンオフ企画です。
35年の長きにわたって連載している「島耕作シリーズ」と肩を並べる形となった「転生したらスライムだった件」以外にも、
現在、ライトノベル・マンガ・アニメのジャンルで「転生もの」がひとつのブームとなっています。
ヒット作は「転生もの」だらけ
ライトノベル作家への登竜門ともなっている「小説家になろう」において、
「転生したらスライムだった件」に抜かれるまで長らく累計人気ランキング1位を保ってきた「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」も、アニメ化が決定。
関東近郊のJRの駅構内に大判ポスターが掲出され、話題となりました。
その他、「この素晴らしい世界に祝福を!」や「Re:ゼロから始める異世界生活」「幼女戦記」など、数え上げればキリがありません。
ではなぜ、これほどまでに「転生もの」がウケているのでしょうか?
ヒットコンテンツには、時代の空気が反映されます。もちろん、「転生ブーム」も例外ではありません。
読んでいるのはオトナ男子
まず、業界の前提として、ライトノベル・アニメを支持する購買層は、男性が大半を占めています。
しかも「中高生向け」という建前とは裏腹に
その年齢は年々上がり、今では30代がメインターゲットとなっています。
男性向けのライトノベル・アニメといえば、以前は「冴えない中高生男子が、ある日突然美少女たちに囲まれた学園生活を送るようになる」という設定が定番でした。
ですが現在は、読者たちも大人になり、サラリーマンとして働くように。
取り巻く現実世界はより厳しいものになっています。
「転生もの」の、サラリーマンの主人公が殺されて生まれ変わるという設定には
「いまの環境はどうやっても打開するのは難しい無理ゲー」「いっそのことリセットさせてくれ。
そうすれば自分は活躍できるはず」という心理が見て取れます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/iotatatsunari/20190326-00119690/