https://www.j-cast.com/tv/2019/07/25363559.html?p=all
京都アニメーション放火事件、吉本興業の芸人2人の謝罪会見と、それを受けての岡本社長の見るも無残な釈明会見、
日曜日には戦後2番目の低さの投票率になった参議院選の投開票と、激動の週末であった。
まずは、34人の死者を出した京アニ事件から。週刊文春によれば、犯人と見られる職業不詳の青葉真司(41)は、
事件の数日前には京都のネットカフェに滞在し、事件前日には宇治市にある京アニ本社に向かって歩く姿が防犯カメラに映っていた。
当日は、午前10時ごろ現場近くのスタンドでガソリン40リットルを購入し、京アニの玄関から侵入してガソリンをまいて、火を放った。
自分も大やけどを負った青葉は、犯行後に、「小説を盗んだからやった。社長を呼べ。俺の作品をパクりやがったんだ!」と叫んだという。
週刊文春は、青葉の半生をかなり細部にわたって取材している。実父は元市議会議員の運転手や幼稚園バスの運転手などをしていた。
幼稚園で働いていた女性と結婚して6人の子どもをもうけた。父親は自分の子供を担当していた幼稚園教諭と不倫関係になり、
妻と子どもを捨てて家を出て、再婚する。その2人の間にできた次男が真司だった。
間もなく2人は離婚し、子どもたちは父親の手で育てられる。埼玉県の地元の小中学校へ通うが、中学時代は「不登校だった」と
元クラスメートが語っている。1994年に県立浦和高校の定時制に入り、在学中に埼玉県庁の非常勤職員として勤務した。
その後、コンビニなどに職を変えるが、青葉が21歳の時、生活苦から父親が自殺してしまうのだ。
その後、青葉はあらゆる人間関係を遮断する生活を送るようになる。2006年頃には下着泥棒とみなされて逮捕されるが、
執行猶予判決で社会復帰する。だが、12年6月にコンビニに包丁を持って押し入り、約2万円を奪って逃走するが、逮捕され、
懲役3年6か月の実刑判決を受ける。
栃木県さくら市の刑務所に収監されるが、懲罰房内で大暴れしていたと、元刑務所仲間が話している。刑務官たちからも
「危ないヤツ」と"特別扱い"されていたという。元仲間によると、一つだけ熱心に青葉が取り組んでいたことがあったそうだ。
小説の執筆を消灯前までしていたという。
16年に出所し、現在の埼玉県内のワンルーム賃貸マンション「レオパレス」に住み始めたが、ここでも、ロックを大音量でかけたり、
隣人の部屋に突然来て、いきなり胸ぐらをつかみ、「黙れ、殺すぞ、こっちは失うものは何もないんだ」といい放ったそうだ。
そのすぐ後、京都に向かい、事件を起こすのである。週刊新潮によると、京都府警捜査1課長が会見で、
「(青葉に)精神的な疾患があるとの情報を把握している」と述べたそうだ。精神科医の片田珠美は、青葉の言動から、
統合失調症の症状が見て取れるという。「まず、思考奪取。"自分の考えが奪われた、盗まれた"と感じてしまう症状で、
そのせいで彼は"小説をパクられた"という被害妄想を抱いたのでしょう」
精神鑑定が行われて、もし心神喪失だと認められれば、無罪になる可能性もある。週刊文春、週刊新潮を読んでも、
なぜ埼玉から京都まで行って、京アニを狙ったのかという動機が見えてこない。小説なら東京にも出版社はいくらでもある。
アニメの会社もあるだろう。京アニはアニメ界では大変有名だとしても、なぜという疑問は消えない。
京アニの八田英明社長は、京アニは小説を公募し、アニメ化もしているが、「青葉の名前を聞いたことがない。
小説を応募してきたことはない」と囲み取材で話している。事件が起きた時のテレビ中継で、昨年暮れに京アニが何らかのトラブルを
抱えていたとレポーターが話していたのを記憶しているのだが。何とか青葉から「動機」を聞き出してほしいものだ。
そうでなければ、無念を抱えて亡くなった多くの人たちは浮かばれない。ご冥福を祈りたい。