「個別指導孤独でつらい」 廊下で寝起き、書写1週間、自由時間なし
2019年8月17日 朝刊
「一週間ずっと教科書の内容をノートに書き写していた。職員もほとんど話をしてくれなかった」。
親から虐待を受けて保護された十代の女子生徒は、東京都の一時保護所で経験した「個別」と呼ばれる指導の実態を本紙に証言した。
「守ってもらえるはずの場所で、なぜあんな思いをしないといけないのかと思った。今も納得できない」と話す。 (岡本太、森川清志)
女子生徒は親からの虐待で保護され、今年、都足立児童相談所の一時保護所に入所した。
そこで経験した「個別」と呼ばれる指導は、「懲罰的な運用はしていない」という都の説明と大きく食い違う。
女子生徒によると、保護所では異性だけでなく、女子同士も「仲良くなるから」という理由で会話が禁止された。
ある日、学習の時間にほかの女の子と話をしたことを注意され、職員に「今日から個別です」と告げられた。
職員に連れられて向かったのは、ホールにつながる廊下の一角。
ついたてで囲んだ一畳ほどの畳の上に机といすがあった。
職員から「道徳のような教科書」とA4判のノートを渡され、書写の指示を受けた。
「個別」では、ここに布団を敷いて寝起きする。午前六時、他の子より約一時間早く起き、食堂などを一人で掃除し、
みんなが起きてくるころにはついたての内側に。
書写は午後八時まで続き、食事はついたての内側で食べた。
ほかの子との接触は許されず、自由時間もなし。運動は他の子より長い距離を走らされた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019081702000136.html