「普通」を目指す白人至上主義、支持拡大へ戦略転換
2年前、白人ナショナリスト運動が全米に衝撃を与えた。バージニア州シャーロッツビルで行われたネオナチに抗議する集会が流血の惨事となった。
極右の男が運転する車が群衆に突っ込み、1人が死亡、多数の負傷者が出た。
白人至上主義グループの一部指導者は再編を進めた。怒りをあおる代わりに、新たな方針で支持を集めることにした。「普通」に見せる戦略だ。
彼らが掲げたより大きな目標は、白人ナショナリストの多くが「第2段階」と呼ぶものだった。
忌み嫌われる極右思想を主流派にも受け入れられるものとし、白人ナショナリストを影響力ある立場にする。
言葉遣いをソフトにしたほか、多くのグループは集会を対決色の強いものから社交的な場に転換した。
(中略)
白人ナショナリストによるイメージ改善策は、極右イデオロギー信奉者が長年繰り返してきた暴力とは矛盾する。
大学の刑法研究者たちが協力して作る米国過激主義犯罪データベースによると、2018年までの10年間で極右思想を動機とする殺人事件は62件、124人が犠牲になった。
白人至上主義者による犯罪も含まれているが、反政府を掲げる過激派など、人種に関心のない犯行もある。
かつて「クー・クラックス・クランの騎士(ナイツ)」と呼ばれていた団体「ザ・ナイツ・パーティ」の全米ディレクター、トーマス・ロッブ氏は、白人至上主義の運動には対決や集会を超えた考えが必要だと話す。
エルパソの銃乱射事件が起きる前、インタビューに応じたロッブ氏は、「我々の目標は会員を集めることではなく、影響力を広げることだ」と語った。
「我々のウェブサイトを見れば、常に黒人差別の言葉を使うわけではない、ちゃんとした人間がやっているのだと分かるだろう」
目指しているのは、極右の理念が幅広い受け手に心地よく響く「米国企業のように発信する」ことだという。
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https://jp.reuters.com/article/elpaso-white-nationalist-us-idJPKCN1V50W6