むつ病院 病棟の維持困難 看護師不足が深刻化 一部閉鎖の危機
青森県下北地方唯一の総合病院「むつ総合病院」(むつ市)が、病棟の一部閉鎖の危機に直面していることが分かった。
医療業務を支える看護師の退職者が採用数を上回っていることが要因。病棟の閉鎖は地域医療の崩壊につながりかねないとして、
むつ市や大間町など5市町村でつくる運営主体の一部事務組合下北医療センターは対応に乗り出す方針だ。
むつ総合病院は全22科があり、看護師数は約300人。下北医療センターの内部資料によると、同病院の過去3年の退職者数は表の通り。
定年、早期を除く自己都合の退職者は2016年度に14人、17年度に8人、18年度に10人で、平均すると毎年10人以上が辞めている。
下北医療センターのシミュレーションでは、今のペースが続くと2年後の21年度には夜勤体制が組めなくなり、
病棟の一部閉鎖や入院患者の制限に踏み切らざるを得なくなるという。
複数の関係者によると、むつ総合病院の看護師は激務が続いており、多い人で月に8〜9回の夜勤に就いている。
退職者が増えることで残された職員の負担が増し、さらに退職者が出る悪循環に陥っている。
病床数や診療科目の削減につながった場合、患者にとっては深刻な問題になる。
下北半島を貫く高速道路が完成しておらず、青森市や八戸市など県内の他の総合病院に行くには車で最低2時間はかかる。
下北医療センターは看護師の労働環境改善に向け、手当の拡充や負担軽減策を近くまとめ、一部事務組合の議会に提案する予定。
組合管理者の宮下宗一郎むつ市長は「医師を増やしても看護師がいなければ病院は機能しない。地域医療を守るために対策を練っていきたい」と話した。
https://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201908/20190822_23006.html