東京パラリンピックまで1年。大会機運を盛り上げようと、さまざまなイベントが行われています。
「千代田区役所内のホールでは、多くの人たちがブラインドサッカーを体験しています」(記者)
視覚障がいがある選手を対象としたブラインドサッカー。下半身に障がいがある選手を対象としたパワーリフティング。
26日は東京・千代田区でパラリンピックの競技を体験するイベントが開かれました。
「パラリンピックになると知られていない競技があるので、そういったところを知ってもらいたい。
お客さんが応援することによって、奇跡的なプレーが見られると思うので、ぜひ会場に足を運んでいただいて」(一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟 北澤豪会長)
開幕まで1年をきり、課題となっているのが競技の認知度の向上です。東京都が今年2月に発表した調査では、
車いすバスケットボールなど8割近い認知度を示した競技もあるものの、ブラインドサッカーはおよそ18%、パワーリフティングはおよそ8%と、
まだまだ多くの人に知られているとは言えません。
そして、パラリンピックはバリアフリーの促進も目標に掲げていますが、どこまで進んでいるのでしょうか? 東京のバリアフリー事情に詳しい佐藤聡さんに、
東京・板橋区の自宅から新国立競技場までの道のりを案内してもらいました。段差が2センチを超えると、車いすでは通るのが難しくなるといいます。
「なかなか、うまく上がれないですね」(DPI日本会議 佐藤聡さん)
都営三田線の新高島平駅。ホームには段差を解消するスロープが設置されていて、一人で電車に乗ることができました。
乗り換えた先の東京メトロ半蔵門線では、電車とホームの間に段差があるため、駅員が電車の乗り降りにスロープを出してくれました。
「(20年前と比べると)東京はどこにも行けない町でしたね。今はほとんどの駅にエレベーターがありますので、どこでも行けるようになって、全く違う国くらい変わりました」
(DPI日本会議 佐藤聡さん)
ところが、飲食店やコンビニなどではバリアフリーは全く進んでいないと佐藤さんは言います。
「1階でも段差があって入れない。ここはスロープあるんですけど、急すぎて、上ろうとしたらひっくり返りますね。だから入れないですね。
ここはたまに通るんですけど、車いすで入れるお店は1つもない」(DPI日本会議 佐藤聡さん)
新しい建物を建てる際にはバリアフリーにするなどと法律で定めないと、状況はいつまでも改善されないと佐藤さんは言います。
そして、特に問題なのがホテルです。佐藤さんによりますと、客室数が多いホテルでバリアフリー対応の部屋が10部屋以上あるのは、東京都内で1か所しかないといいます。
「車いすの人がバリアフリールーム取れないっていう人は続出すると思います。なかなか見つけるのは大変なんですよ。
ですから来年はものすごく大変で、バリアフリールームが取れない人が続出するんじゃないかと思います」(DPI日本会議 佐藤聡さん)
陸上競技の決勝のチケットが当たった女性。地元から東京に来て宿泊したいと思っていますが、いまだにバリアフリーの部屋が見つかっていないといいます。
「多くの障害がある人が路頭に迷うというようなことがなければいいんですけど」(バリアフリールームがとれていない女性)
東京都によりますと、パラリンピック大会開催期間中、バリアフリー対応の客室は1日あたり730室が必要と試算されています。
しかし、基準を満たすものは去年10月現在でおよそ200室も足りていないといいます。東京都は客室の確保に向けて、
さらに対策を進めるとしていますが、佐藤さんは、今回のパラリンピックが大きなきっかけになってほしいと話します。
「新国立競技場は日本で初めて世界の基準を、バリアフリーの基準を満たした競技場なんです。
競技場だけじゃなくて飲食店・ホテルも含めて、日本の法律の見直しが必要だと思います」(DPI日本会議 佐藤聡さん)
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