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タイヤ半分まで冠水するとブレーキの効きが低下…冠水したアンダーパス進入で死亡事故
近年、日本各地で集中豪雨による被害が報じられているが、大都市圏にも水害の危険性は潜む。今回は水害時に被害が予想される場所の一つ、アンダーパスの危険性について専門家に話を聞いた。
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全国には3500カ所近くアンダーパスがある。あふれた水が流れ込み、冠水後に自動車で進入して動かなくなり、乗っていた人が死亡する事故も起きている。
愛知県清須市では16年、台風の大雨で冠水した県道のアンダーパスで乗用車が水没し、運転していた当時69歳の女性が死亡した。
防災・危機管理アドバイザーで「防災システム研究所」(東京)所長の山村武彦さんによれば、一般的に車は、タイヤの半分まで冠水するとブレーキの性能が低下し、ドアステップまで冠水すると
マフラーや吸気口から水が入り、エンジンが停止する可能性が高い。さらにドアステップより10〜20センチ水位が上がると、車が浮き上がりハンドルが利かなくなるという。
浸水の危険の可能性があるアンダーパスを、重ねるハザードマップで調べると、東京23区は東京・銀座を横切る昭和通り、横浜では横浜港に面した国道16号、名古屋では木曽川と庄内川に挟まれた国道23号、大阪は淀川沿いの国道2号などに集中している。
浸水リスクがあると示されたアンダーパスは、東京44、横浜14、名古屋77、大阪72で計207カ所にのぼった。
「道路が冠水すると通行止めになるが、大雨の時はアンダーパスへの浸水は短時間で起きる。しかも濁った水に覆われているため、水深がわからず運転を進め、痛ましい事故につながりかねない」(山村さん)
もちろん洪水も津波も、アンダーパスも、河川から離れていれば大丈夫というわけではない。山が近くにある場所は斜面が崩壊する土砂災害の心配も拭えない。いつ起きるかわからない首都直下地震や南海トラフ地震による津波や台風による高潮など、水害が発生しやすい箇所は全国各地にある。
防災研究の第一人者として知られ、『日本水没』(朝日新書)の著書もある関西大学社会安全研究センター長の河田惠昭(かわたよしあき)さんは言う。
「地球温暖化によって、いつどこで想定を超える豪雨が降るかわからない。マグニチュード7.3の首都直下地震による被害の総額は約95兆円と推定されている。私の計算では、津波、洪水、高潮によって
東京都市部が3メートル以上浸水した場合、ほぼ同額の約91兆円の被害が出る。災害で人が亡くなったり被害が出たりしてから、後悔するのでは遅い。水害に対する楽観主義を見直す時が来ている」