「食品ロス」削減にも貢献、余った食料を持ち寄り活用
生活が苦しい世帯や子ども食堂に届けるため、家庭で余った食品を持ち寄る「フードドライブ」という取り組みが、「食品ロス」の削減にもつながるとして注目されている。
まだ食べられるのに捨てられる食品を有効活用するため、気軽に参加できる仕組みも広がりつつある。
今月上旬、東京都文京区で開かれた区の地域イベント「ステージ・エコ」。さいたま市の会社員男性(50)が、お歳暮でもらったカニの缶詰7缶を袋から取り出した。
「食べないのでいつか食品ロスになるし、困っている人に食べてもらいたい」。約3時間で集まったのは乾麺や砂糖など12キロ分。NPO団体を通じて、ひとり親家庭などに届けられるという。
同区はこうした催しで、余った食料品を集めてきたが、昨年度から区役所で常時受け付けを始めた。今春、高齢者などを対象に、区民が自宅から無料で郵送できるサービスも始めた。送料は区が負担する。
農林水産省によると、国内の食品ロスは、推計年643万トン(2016年度)。国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食料援助量の2倍近くにあたる。
国民1人あたり、茶わん1杯分のご飯を毎日捨てている計算で、約半分が家庭からだ。
こうした余っている食品を持ち寄るのが「フードドライブ」。フード(食べ物)とドライブ(活動)を足した言葉で、1960年代に米国で始まった。
不要な食品を大量に集め、必要とする家庭などに提供する「フードバンク」の仕組みのうち、企業主体でなく、一般の人々が持ち寄る草の根的な活動のことを指す。
食品をいつでも受け付ける自治体や団体は増えている。東京都世田谷区は17年度から区施設で常時、受け付けている。年1トン近く集まるという。「身近な窓口なので持ち込みやすいようだ」と担当者。
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