https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-24/PYBDS26K50XS01
世界の超金持ちは現金積み上げ、リセッション恐れる
キャドワラダー・ウィッカーシャム・アンド・タフトの元パートナー、リック・ストーン氏は、現金を投資に回そうとするファミリーオフィスに不安な時代が待っていると考えている。
ストーン・ファミリー・オフィス責任者の同氏は、債券は今後10年にわたりまともなリターンを生まないとみる。株式は大幅な下落に見舞われた後横ばいになり、ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資では投資資金に対して機会があまりにも少ない状態が続くと予想している。
「ファミリーオフィスが資金を配分するには、とても難しい時代だ」とストーン氏(60)は述べた。
ストーンは、フロリダ州パームビーチにある35のファミリーオフィスのネットワーク、パームビーチ・インベストメント・リサーチ・グループの会議を隔月で運営している。「投資すべき分野は少なく、大量の資金がスペースを探している」と同氏は語った。
2019年UBSグローバル・ファミリーオフィス・リポートでも、調査対象の360のファミリーオフィスの大半が同じような見方を示した。キャムデン・リサーチと共同実施の調査結果は23日に公表。20年までに世界経済がリセッション(景気後退)入りするとの回答は過半数を占め、特に新興市場の回答者に悲観論者の割合が高かった。また、ファミリーオフィスの約42%が現金を増やしていた。
ロックフェラー・グローバル・ファミリーオフィスのプレジデント、ティモシー・オハラ氏は「超富裕層投資家の間で公開株市場に対して警戒と不安が増している」と述べた。「このため、プライベート投資や代替投資、あるいは現金を考える人が増えている」という。
UBSは2−3月にアンケート調査を実施した。それによると、調査前の12カ月のファミリーオフィスの平均リターンは5.4%。先進市場の株式の平均リターンは2.1%だった。
PEの平均投資収益率は直接投資で16%、ファンドを通じた投資で11%。不動産のリターンは平均9.4%と好調で、平均的なファミリーオフィスのポートフォリオで資産の17%を占めた。向こう1年間にPEへの直接投資を増やすとの回答は46%、PEファンドへの投資拡大は42%、不動産投資を増やすは34%だった。