最優秀賞に静岡の丸山さん 新聞配達エッセー賞
日本新聞協会は30日、新聞配達や販売所にまつわるちょっといい話などをまとめた「第26回新聞配達に関するエッセーコンテスト」の受賞作品を発表した。
4039編の応募があり、大学生・社会人部門の最優秀賞は静岡県富士市の公務員、丸山有加里さん(44)の「気付きが救った命」に決まった。
https://www.pressnet.or.jp/about/recruitment/essay/works_2019.html#daigakuhighest
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・気付きが救った命 有加里ゆかり(44歳) 静岡県富士市
ズボッ、ズボッ。いまだ除雪車が来ていない早朝の極寒の雪道を長靴で踏み締め、
凍えながら近所に新聞を配る。地元の旧習で新聞配達を始め、数年目の冬。
「あれ?」
ある家の前で首をかしげた。一人暮らしのおばあちゃんは毎朝、笑顔で必ず門前で私を待っている。それなのに今朝はいない。
こんなの初めてだ。無性に気になり、「おばあちゃん! 新聞だよ」と玄関を開けると……。
「おばあちゃん?」
廊下でおばあちゃんが倒れていた。慌てて119番。私はパニックを起こし、うまく説明できなかったが、まもなく救急車が到着し、おばあちゃんは運ばれた。
「発見が早かったおかげで助かったんだよ。ゆかちゃんはおばあちゃんの命の恩人だ。本当にありがとう」
後日、病室で再びおばあちゃんの笑顔が見られたとき、「寒いのも眠いのも我慢して、新聞配達を頑張って良かった!」と心底思った。
ほんの少しの「気付き」が人命を救うこともある。あれから30年。今春、娘は新聞少女デビューした。