東京五輪・パラリンピックに出場するアフリカ・南スーダン選手団が14日、来日した。
開催まで約8か月の早い時期に選手団が開催国入りするのは異例。
内戦が続いた同国では練習に適した施設が見つからないためで、選手らはホストタウンの前橋市に滞在し、支援を受けながら本番まで練習を続ける。
来日したのは、いずれも陸上競技の五輪選手3人、パラリンピック選手1人、コーチ1人の計5人。
14日夕、成田空港(千葉県)の到着ゲートに姿を現すと、前橋市の職員が同国の国旗を広げて「日本にようこそ」と歓迎。
コーチのジョセフさん(58)が「ありがとう」と笑顔で応じた。選手の一人は「日本の素晴らしい環境で練習し、良い成績を残したい」と話した。
南スーダンは2011年にスーダンから独立した「世界で最も若い国」で、前回リオデジャネイロ大会には、同国代表として3人、難民選手団として5人が出場した。
東京大会にも選手団を派遣するため、受け入れ先を探していたところ、仲介に入った国際協力機構(JICA)の呼びかけに前橋市が応じた。
同国では今も内戦の爪痕が色濃く残る。
現地で若者の職業訓練などを行うNPO法人「日本紛争予防センター」理事長の瀬谷ルミ子さん(42)は「スタジアムはあっても土を平らにならしただけ。整備された陸上用トラックはない」と話す。
前橋市は400メートルトラックを備えた王山運動場を練習場として用意する。
市内のホテルでの滞在費や食費などを支援するため、ふるさと納税を活用するほか、
同国の応援Tシャツを作製して全国から資金を募っている。
市民との交流行事も行う予定で、山本龍市長は「多くの人の力を集めて、選手を東京大会に送り出したい」と話している。
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