官民ファンド「A−FIVE」20年度末で新規投資停止 累積損失100億円規模」
江藤拓農相は20日の記者会見で、農林水産省が所管する官民ファンドの農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)について、2020年度末で新規投資を停止すると発表した。
21年度以降は投資回収業務に専念し、終了すれば解散する。
累積損失が100億円規模に膨らんだため、農水省は20年度の予算要求を取り下げた。
機構は農林漁業者が生産、加工、販売などを一体的に行う「6次産業化」の推進を目指し、13年に設立。
財政投融資300億円と民間出資19億円を原資に、養殖マグロの販売拡大に取り組む会社に直接出資したほか、地銀などと設けた投資組合(サブファンド)を通じて間接的に食品加工販売会社などに投資してきた。
しかし、1件当たりの出資金額が平均約1億円と小規模で収益が上がらない一方、人件費や事務所費などがかさみ、19年3月末時点の累積損失は92億円に達した。
20年3月末には115億円に膨らむ見通し。江藤農相は会見で「累積損失を解消し、収益を確保することは困難と判断し、損失を最小化するよう投資の計画見直しを指示した」と述べた。
機構は当初、解散時期を32年度としていた。
農水省によると、官民ファンドが期間途中で解散するのは初めて。
農水省は今後、専門家を集めた会合を開き、投資などに問題点がなかったか検証する方針だ。【神崎修一】
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