人知超す未来予測 五輪の警備、意思や行動も読む
「その場にいると、1時間後に熱中症リスクが危険レベルに達します」。
太陽が照りつける東京・お台場の路上でトライアスロンの選手に声援を送っていた観客に、スマートフォンのアプリが警告する。
2020年東京五輪で、こんな個人向け予報がお目見えしようとしている。
民間気象会社のウェザーニューズが筑波大と取り組む「都市気象予測モデル」は、1〜5メートル四方の範囲で暑さ指数や風向きなどを予測する。
気温や湿度といった気象データにビルや街路樹、日陰の位置情報などを組み合わせ、「点」で割り出す「世界で最も狭い予報」(同社)となる。
(中略)
世界中から人が集まり都市の至る所に混雑を生む五輪では、警備や犯罪抑止の技術も問われる。
12年ロンドン大会を経て英国は防犯カメラが約600万台に増えたとされ、人口当たりで最も多い国になった。
日本では警視庁が五輪の競技会場から最寄り駅までの間に配備したカメラを通じ、群衆の流れをリアルタイムで捕捉する。
これまでのテスト大会などで蓄積した映像をAI(人工知能)を使って解析しており、それを基に本番で不審者を検知する。
五輪の渋滞対策では、警視庁は常時把握する幹線道路上の10万台もの車両の速度を基に信号を制御する。
他の生活道路の走行履歴も含めたビッグデータをAIに学習させる計画もあり、同庁幹部は「路上駐車など
あらゆる情報を基に渋滞を予測し制御などに生かせるようになれば、都内の渋滞をほぼゼロにできる可能性がある」とみる。
五輪という実証の場を経て、人知を超えた予測技術は私たちの社会を変えていく。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54904460X20C20A1SHA000/