富士フイルムホールディングスは新型コロナウイルスの検査試薬の開発に着手した。
感染拡大に伴い、試薬の供給不足が懸念されているためで、通常は開発に3カ月程度はかかるとされるが、早期の投入を目指す。
国内大手メーカーも感染症対策に取り組み、新型肺炎の収束に動き始めた。
子会社の富士フイルム和光純薬がこのほど、新型コロナウイルスに特化した試薬の開発を始めた。
試薬は検査対象となる人の唾液などを採取し、含まれるウイルスの遺伝子を増やしてその種類を調べる「PCR法」と呼ぶ検査技術に使う。
今回は規制当局の承認が必要なく、開発を終えたらすぐに使える。開発には一般的に3〜4カ月かかるとされる。
ただ新型コロナウイルスはゲノム情報がすでに解析されており、もっと短い期間で開発できる可能性もある。
富士フイルムは具体的な時期を明らかにしていないが、今回の新型肺炎の流行が収束する前に投入できるよう急ぐ。
新型コロナウイルスに対応したPCR法向けの試薬は、スイスのロシュなど大手を中心に増産されている。
日本ではタカラバイオが中国・大連市から要請を受け、生産量を従来比50倍に増やした。
だが感染が世界に広まり、試薬が不足する傾向は解消されていない。
世界では、医療機関などでも簡単に使える迅速検査キットの開発が求められている。
遺伝子を増やすPCR法に比べて短時間で手軽に検査できる利点があるが、完成には少なくとも数カ月以上、さらに承認を得るのに数カ月かかるとされる。
陽性・陰性の判定精度もPCR法の方が高く、富士フイルムはPCR法の試薬の需要が高まると判断した。
新型肺炎の収束に向け、大手も検査試薬や迅速検査キットなど新たな感染症対策に急ぐ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55878380Q0A220C2EA2000/