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羽生、至高の雪辱戦 チェン「できる最高の演技を」 フィギュア・GPファイナル、5日開幕
グランプリ(GP)シリーズ上位6人で争うGPファイナルが5日(日本時間6日)、イタリアのトリノで開幕する。
注目は五輪で66年ぶりの男子2連覇を達成した羽生結弦(ANA)と世界選手権2連覇中のネーサン・チェン(米)の一騎打ち。今年3月の世界選手権以来の直接対決になる。
11月のNHK杯で圧勝し、GPファイナル進出を決めた羽生は言った。「ファイナルはネーサン選手との戦いみたいな感じでしか思っていないんですけど。やっぱり、勝ちたいので。勝つことに意味があると思っているので、本当に」
■昨季、日本で敗北
対抗心の源には、昨季の世界選手権での敗北がある。日本開催の大会で、羽生はショートプログラム(SP)、フリーともにチェンに及ばず、合計点で22点差以上をつけられ、2位だった。
羽生は「SPとフリーをノーミスしても、たぶんすごいギリギリで勝てなかったと思う」と大会後に語っている。
今季はともにGPシリーズ2連勝でファイナルに進んだ。羽生は得点源の4回転ループ、4回転サルコーの安定感が増した。スケートカナダで自己ベストの322・59点をたたき出し、今季の男子で羽生だけが300点以上をマークしている。
チェンの今季最高得点はスケートアメリカで記録した299・09点だ。ただ、世界選手権からは構成を落とし、連続ジャンプを演技の前半に組み込んでいる。その上にジャンプでのミスもあり、得点が伸び悩んだ。
■5度目Vなるか
羽生は「今季は点数は勝っていますけど、2戦とも満足しきれるとは言えない内容。それでも、勝てているという自信は持ちつつ。ネーサン選手はこんなものじゃないっていうのは自分自身すごく分かっているので」と警戒心を強める。
チェンは「競技に出ている限り、勝ちたいという気持ちは当然あります。ただ、誰か一人の選手を負かしたいというような気持ちで挑むことは、自分のやりたいことの妨げになる。できる最高の演技を目指してやっていくように試合では心がけています」と語る。
羽生はチェンに勝つために、4回転ルッツを入れるなどプログラムの構成を上げてくる可能性もある。「とりあえず優勝したいです。その思いが一番強い。やっぱり結果って、本当に大事なものだと思っていますし」。羽生にとっては3年ぶりの大舞台。覚悟を持って、史上初となる5度目のGPファイナル制覇を目指す。