スペインの医療従事者で構成する労働組合は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う同国の医療危機は、政府が現場の医師からの警告を無視し、自ら招いたものだったと糾弾した。
スペインでは、1月末にカナリア諸島で最初の新型ウイルス感染者が確認された時、政府は「心配無用」だと一蹴していた。
だが、わずか2カ月の間に状況は一変。医療組合は現在、医師の警告を政府が無視したと主張している。
死亡者数は今や中国を追い越し、感染者数は10万人に達した。
バルセロナで勤務するジュゼップ・マリア・プッチ医師
「感染拡大の初期、どれだけの時間を無駄にしたことか。当初は対岸の火事だったとはいえ、中国という例があったのに。
実際には、スペインと多くの類似点があるとても近い例だった。
ウイルスとの戦いに備えるのに、十分な時間を与えてくれる例だったのに」
他国と同様、スペインでも医療用品が不足。ビニール袋やレインコートなどの簡易防護具を使い始めている。
医療組合は、国内17地域のうち少なくとも10地域で当局を提訴。安全衛生法令に沿い、24時間以内の個人用防護具(PPE)提供を要求した。
カタルーニャ州の1件は却下されたが、裁判所は早急に手袋、マスク、人工呼吸器などの個人用防護具を現場へ提供するよう命じた。
マドリードで勤務するマリア・デ・ラ・クアドラ看護師
「私が感染したのは、防護具がないからだ。適切な保護マスクはどんどん減り、手術着は劣化しているのに、替えが来ない。
病気の医療従事者が増え、働ける人はますます少なくなっているのに、患者はますます増えている」
このような状況は、EU加盟国でスペインだけではない。
ロイターが入手した文書によると、あと1カ月後には、欧州でマスクや人工呼吸器、検査キットが足りなくなり、奪い合いが始まる見通しだという。
各国政府はEUに、医療制度は準備が整っており、医薬品の追加は不要と連絡していたし、ある欧州委員会関係者は「すべて管理下にある」とさえ述べていた。
実際には、欧州は今や制御不能の状態。新型ウイルス拡大の震源地と化している。
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