日本はいま、人類史上最強のセキュリティ技術「量子暗号」の先頭を走っている
https://wired.jp/2020/04/24/nict-quantum-cryptography/
近ごろ、怖い話を耳にする。グーグルやIBMが取り組む量子コンピューターが本格的に実用化されたら、わたしたちのプライヴァシーはすべて丸裸にされてしまうのだ、と。
現在インターネットで使われている暗号技術はすべて、あっという間に解読されてしまうらしい。けれど、その予測は間違いだと断言しよう。
量子コンピューターの能力をはるかに凌駕する、人類史上最強にして絶対的なセキュリティ技術「量子暗号」が敢然と立ち向かい、わたしたちの営みを守ってくれる。
しかも、その最前線で戦うのは日本の研究者チームだ。
量子というパワーワードを耳にして、あなたはどう感じるだろう。「SF的な、未来のアイデアに違いない」と想像するのは当然だ。
しかし実体はまったく異なる。特に「量子通信」の基礎技術はすでに完成し、2020年1月には初の商用機が日の目をみた。
リリースしたのは日本のメーカーである。
「電車に乗っていたら、車内のモニターで東芝のCMをみたんです。いやぁ、感慨深かったですよ」
実用化を目指して長年努力を重ねた研究者のひとり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の佐々木雅英は現在、国産メーカーの技術者たちとがっちり手を携え、国際標準化の作業に取り組んでいる。
深夜に及ぶテレカンファレスに忙殺され、へとへとだが、だからこそ強い手応えを感じている。
「スイスで毎週のように会合が開かれていますが、そこでは日本の提案がどんどん採用されている。量子暗号通信の分野では、われわれ日本人が草案を書きまくっているんです」