![](http://img.5ch.net/ico/gya-.gif)
![そのままの姿で化石が発見されたことで有名なノドサウルス、食べていたものが判明 [668785418]->画像>2枚](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/be/Nodosaur.jpg)
今から1億1000万年前の白亜紀、現在のカナダ、アルバータ州の森を、1頭の恐竜がゆっくりと歩いていた。森林火災の後だったのだろう、恐竜は焼け野原から伸びた柔らかいシダの葉を食べていたようだ。
しかし、まもなくこの恐竜は死亡し、海へと流された。そして長い時間をかけて堆積物のなかに埋もれていった。
![そのままの姿で化石が発見されたことで有名なノドサウルス、食べていたものが判明 [668785418]->画像>2枚](https://amd.c.yimg.jp/im_siggKTdP__Kh.l1CvSqkSY3dew---x640-y533-q90-exp3h-pril/amd/20200605-00010000-nknatiogeo-000-2-view.jpg)
時は流れて西暦2011年、オイルサンド採掘場の作業員が、鎧のような装甲に覆われたこの恐竜の化石を偶然掘り当てた。これまで発見された同種の化石としては最も保存状態が良いものだった。
この「奇跡の恐竜」については、これまで外見やその機能など数々の研究がなされてきたが、今回さらに新たな研究成果が発表された。恐竜の胃の中に残っていた化石から、この恐竜が何を食べていたのかがわかり、さらに恐竜が死んだ季節まで明らかになったのだ。
化石化された胃の内容物が見つかること自体まれだが、草食恐竜の最後の食事がはっきりと残っているのはさらに珍しい。骨が保存されるような化学的条件は、植物を分解しやすい条件でもあるからだ。
それに、動物の体が堆積物に埋もれると、後から胃に入ってきたものが混じるため、その動物が食べたのが何かを見分けられなくなる。
全身が鎧のような装甲で覆われた恐竜と言えば、アンキロサウルスが代表的だが、ボレアロペルタを含むノドサウルス科の恐竜は、アンキロサウルスのように先端にこぶのついた尾を持たない。
発見されたこのボレアロペルタは約1億1000万年前に、北米大陸北西部に生息していたが、ある日何らかの理由で川で死んで、160キロ以上流された。たどり着いた先は、かつて北米大陸を2つに分断し、メキシコ湾から北極海にまで延びていた内海だった。
海底に埋もれて化石化し、そこが後に陸地になったという極めて珍しい事象のおかげで、ボレアロペルタの化石は驚くほど良い状態で保存されていた。
骨でできた装甲はバラバラになることなく生前の形を保ち、それを覆うケラチンの軟組織までもがそのまま化石化していた。こうした手がかりから、恐竜の装甲はどんな外見をしていたか、どんな機能を果たしていたのか、さらには肌は何色だったのかまで推測された。
1億1000万年前の白亜紀中期、カナダ北部の気候は今よりもずっと雨が多く、温暖だった。鬱蒼とした森と湿地には、現代のアルバータに見られるような樹木や小麦とは全く異なる植物が生えていた。
顕花植物はまだ珍しく、森では針葉樹やキカデオイデアと呼ばれるヤシのような木が優位を占め、足元にはシダ類やトクサ類が茂っていた。
ゲイツ累層の植物とボレアロペルタの胃の内容物を比較したチームは、足の短かったボレアロペルタは背の低い植物を食べていたであろうと結論付けた。
意外だったのは、数ある草のうち、ボレアロペルタは主に1種類のシダ植物だけを選んで食べていたらしいということだった。また、内容物の約6%は、木炭の欠片だった。森林火災があったばかりの焼け野原で再生した植物を食べていたと思われる。
さらに、内容物に含まれていた小枝の年輪から、それが食べられたのは成長途中である春の終わりから真夏の間だったことも示唆された。また、恐竜の食べたシダの葉の裏にある胞子のうが成熟していることもわかった。
これらのことから、ボレアロペルタが最後の食事をとったのは初夏から夏の盛りにかけてで、そのわずか数時間後に死んだと推測される。
過去の研究では、装甲に覆われた恐竜はシダ植物など背の低い植物を食べ、ボレアロペルタのような細いあごを持った恐竜は現代のシカのように柔らかい葉を選んで食べていただろうと考えられていたが、今回の研究はそれを裏付けるものだ。
また、化石化した胃の内容物の分析法についても今後の参考になるだろう。
アルバータ州で発見されたボレアロペルタの化石は、他にも秘密を隠し持っているかもしれない。死体は海に流されたので、生前どこに住んでいたのかは正確にはわからない。
だが、胃の中からは植物のほかに、胃石も発見されている。現代の鳥が砂のうで食べ物をすりつぶすのと同様、恐竜がのみ込んだ胃石も、食べ物をすりつぶす役割があったと考えられている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bfd90088141ac41c64d08afc14f5e13000d403cc