水産資源、環境…ボードゲームで解決探れ 試みに注目
https://www.sankei.com/smp/west/news/200208/wst2002080008-s1.html
1月の週末、JR大阪駅隣のグランフロント大阪(大阪市北区)内のナレッジキャピタル。
大人たち約30人がグループに分かれてボードゲームを囲んだ。
燃料を購入して出漁し、マグロやサバを取る「ネクサス・ゲーム」。
漁獲量は振ったサイコロの目で決まる。同じ海域で漁を重ねると魚はいなくなり、回復を待たねばならない。
前半は各プレーヤー間で漁獲量を競い、後半はグループ対抗で漁場を長持ちさせることを競った。
後半戦では「グループ内で、いかに協力するかがポイントになった」と大阪府茨木市の会社員、熊屋寛之さん(45)。
大阪市の会社員、龍野秀子さん(50)は「漁場でのルールを決めることの大切さを実感しました」。
ガイド役になった地球研の王智弘・外来研究員は「各プレーヤーが経済合理性に基づいて行動し漁獲量を増やすと、
全体としては資源を消耗させ非合理的になってしまうのが分かるゲームです」と解説した。
現実社会に当てはめると、プレーヤーは各国、全体は国際社会となる。
■「厄介な問題」どう付き合うか
資源の持続可能性の維持、原子力政策、気候変動対策と経済成長・貧困撲滅の並立…。
シリアスボードゲームでテーマとなるのは公共政策のあり方だ。正解は存在しないが放置はできない「厄介な問題」に取り組む。
問題にぶつかったとき「最も悪いのは、考えるのをやめる『まひ』と、完全に解決できると思い込む『過信』です」と
地球研の太田和彦研究員は指摘する。
厄介な問題を悪化させず、うまく付き合いながら改善していくという姿勢が必要になる。
ゲームではジレンマも味わう。例えば、途上国の経済開発をテーマにしたゲームでは、
手っ取り早く資金が得られる大麻栽培の誘惑が強いことを理解できる。