高畑勲
「それ以前は違っていた。
宮崎アニメのリアリティある超人的行為はしばしば観客をニヤリとさせた。
その鮮やかな現実感に舌を巻きつつも、そーんなバカな(こんなにうまくいくはずないよね)という理性の一片は失わせないからだ。
観客は作品の外にいられた。そしてそれこそが笑いや楽しみを生んだ。
ところが、シータ救出はそのゆとりを観客に許さない。
以来、宮崎作品の笑いの要素はコメディリリーフだけになり「そんなバカな」の楽しみは消えてしまう。
全ての表現が“現実にはあり得ないこと”を“今現実に起こりつつあること“として体感させるために奉仕する」
「ありえないことがリアルにうまくいっても『カリオストロの城』のような描き方だと、『そんなバカな!』と笑って大いに楽しめる。
ところが、『千と千尋』を劇場で見た時、あんなに奇想天外で面白いものがいっぱい出てくるのに、だれも笑っていませんでした」
「チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ」全話収録DVDブック刊行決定
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