国境を越えたコロナの感染拡大は、人類の歴史、そしてこれからの未来にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
大野和基氏編『コロナ後の世界』からマサチューセッツ工科大学教授のマックス・テグマーク氏によるAIとコロナの戦いに関する箇所を
一部抜粋・再構成してお届けします。
当初、新型コロナウイルスの脅威に対して、ドナルド・トランプ大統領は間違いなく過小評価していました。
そして多くの人が、政府はパンデミックに対して十分な準備をしているのだろうと過大評価をしていたのです。
感染が広がりはじめても、政府にはきちんとした防疫対策があるはずだと思っていました。
医療用マスクは十分な備蓄量があり、必要であればPCR検査も即座にしてもらえるのだろう、と──。
ところが、政府が無能であるとわかったのです。100年前に比べると想像もできないほど、世界は複雑に、そして密接につながっています。
どこかの誰かの問題が、瞬時にしてみんなの問題になるということです。あっという間にパンデミックになりました。
中国や韓国の新型コロナ対策を見てみると、ビッグデータが非常に役立っていました。
日本でもそうかもしれませんが、特にアジアではビッグデータと機械学習を効果的に取り入れているようです。
代表的なのは、contact tracing(接触追跡)です。スマートフォンの位置情報や監視カメラの映像などから、検査で陽性と判明した人が、どこで誰と
近接した距離で接触したのか調べることができます。
中国では「健康コード」と呼ばれるQRコードを利用したアプリを多くの人が使っています。出退勤時や商業施設や駅などに入るときに、この健康コードを提示するのですが、
信号のように赤・黄・緑のいずれかの色でコードが表示されます。地方によって基準が少し違うようですが、基本的には「緑」は健康に問題なし、「黄」はコロナ感染者との
濃厚接触あり、入国直後で隔離期間中など、「赤」は感染者という具合です。
中国では飛行機や高速鉄道のチケットを買うのに身分証の提示が必要なので、政府は座席位置に至るまで国民の移動履歴を把握しています。
また、地下鉄の車両や商店にもQRコードが提示してあるので、それをアプリで読み込んでおけば、感染者と濃厚接触した可能性があるときは、通知してもらえるというわけです。
さらに中国政府は地方によって異なっていた健康コードを統一し、新規感染者が出ても24時間以内にクラスターを完全追跡できるようにするとしています。
韓国は感染者に接触した可能性のある人を1人残らず見つけるために、市街の監視カメラや携帯電話の位置情報、クレジットカードの使用履歴まで、
ビッグデータを駆使しました。そうやって見つけ出した接触者全員に、ひたすらPCR検査を繰り返したのです。
(全文はソースで)
https://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20200726_364155/