3分の1が輸出、人気の秘訣はニックネーム 李白酒造
「李白」ブランドで知られる島根県松江市の李白酒造は、1882年(明治15年)に創業した老舗蔵元である。
大正から昭和にかけて2度、首相を務めた松江市出身の若槻礼次郎が、“酒仙”と呼ばれた中国・唐の詩人・李白にちなみ命名した。
1980年代から日本酒の海外輸出を始め現在は香港、米国、ドイツ、スイス、シンガポールなど14の国・地域に輸出。その量は蔵の生産量の3分の1と大きな割合を占める。
5代目蔵元の田中裕一郎さんは「海外に進出する蔵元が近年増えてきましたが、80年代からスタートし、親子2代続けて海外輸出している蔵は珍しい存在では」と話す。
田中さんが人生初の海外旅行を経験したのは小学2年の頃。日本酒の海外視察に出かける父について行ったのが始まりだった。以来、海外には頻繁に出かけ、田中さんが大学生(東京農業大学醸造科卒)になる頃には、各国を飛び回る生活を送ってきた。
「旅好きな父の影響を受け、自分も年に4回ほど仕事で海外出張に行っています」と田中さん。新型コロナウイルスの影響で、ここ半年ほど海外には行けず、国内でこもりきりの生活は約20年ぶりといい、不思議な感じと笑う。
海外で人気な李白酒造のブランドは「李白 特別純米 にごり酒(Dreamy Clouds)」(720ml 価格1430円)と「李白 純米吟醸(Wandering poet)」(720ml 箱なし価格1650円)。
両方とも英語でニックネームが付いているのが特徴で、「Dreamy Clouds」は夢の雲、「Wandering poet」は放浪詩人、李白を連想させる。どこか情緒的雰囲気が漂い、人の心を魅了するものになっている。
「海外では“李白(RIHAKU)”を知らずとも、これらのニックネームが商品名として覚えてもらいやすい。米国人にとってこれらは素敵な響きに聞こえるようです。
ちなみに豪州では特別純米にごり酒に『Blue Purely(青い純潔)』というニックネームを付けています」と田中さんはお国柄の違いを説明する。
よくわからない日本語の銘柄名より、その国の人たちになじみやすい英語のニックネームの方が覚えてもらいやすく、日本酒人気を呼ぶ秘訣とか。
米国のインポーター(酒を輸入して現地の酒販店などに販売する業者)たちは、徹底的に話し合って覚えやすく、カッコいいニックネームを決めているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b5193c4884969dae7cb279eb1dacb7f048ca1d8