持続したフェミニズム社会の実例、読書感想文 〜 女たちの王国: 「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす〜
https://note.com/anonymous28/n/n5cb22b6cef52
死ぬほど長いので要約
●モソ属の社会
・財産を管理するのも女性であり、男は労働力を提供するが、利益分配は女性の側、特に祖母に決定権がある
・労働力も、自動車のような便利な道具も、しばしば共同体によって信用で貸し借りされる
・女性はあまりオシャレをしない
・女性は自由にパーティーを楽しむ
・女性はパーティーに自分の愛人を連れていかないし、その手の話は女同士でしか許されない
・女性は男を容姿で選ぶ
・相手を一人に絞る必要はなく、基本的には自由に関係を結べる
●で、結果こうなる
女性の目には、上位二割の男性以外、異性としては映らないという。
ワァイホンが夢中になって眺めたマッチョ達のステージの裏には、売れ残った男達が大勢いるに違いないのだ。
重労働を課されるだけで、誰からも愛されず認められず、
性欲も満たせず、財産を手にすることもないままの男達が……。
モソの社会で評価されるのが、どういう男だったかを思い出して欲しい。逞しくて美しい男、だ。
できれば面白い男。そこには誠実さや勤勉さなど、含まれない。
ましてや「お勉強のできる男」なんて、論外だ。
しかし、そのお勉強のできる生真面目な男達こそが、ちまちまと勉強して技術水準を高め、
社会にイノベーションをもたらしてきた。もしくは欧米列強から先進的な技術を学んで広めてきた。
それは、彼らがプレイヤーだったことを意味する。
全財産を母や姉妹に握られるモソの男は、プレイヤーになれない。自分の意志で取引ができないのだから。
そもそも彼らから交渉力を奪い去るからこそ、モソの女性支配が成立していた。
しかし、男性に財産権がありプレイヤーになれる社会では、外見的魅力以外のところでも努力すれば
チャンスにありつける。彼らはより広い範囲に協力者を求め、知識と技術のコラボレーションを起こし続けた。
そして、モソの男達には、彼らと同じことをするメリットがなかった。
要するに、広くて大きな集団が二馬力で頑張っているのに、狭くて小さな集団は一馬力で走っていたのだ。
これで差がつかないはずがない。
このような社会でも今日まで存続してこられたのは、モソ人の土地が都市とは隔絶された秘境にあったため。
近年近場に空港ができ、都市とのアクセスが格段に良くなったことでこの均衡が崩れた。
「女人国」であるモソを観光客を珍しがって中国全土から観光客が大挙、どんどんお金を落としていく。
貧しい同族を相手にするより金になるため、モソの女は中国の男と、モソのナンパ師の男は中国の女と関係を持ちだす。
中国流の家父長制的な社会観に合わせた方が近代的な生活を送るには都合がよいため、「未開の母系社会」的社会観は急速に捨て去られつつある。