https://www.sankei.com/economy/news/200907/ecn2009070013-n1.html
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(平成27年=100、速報値)は、基調判断が12カ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に据え置かれ、比較可能な平成20年4月以降で過去最長を更新した。
ただ、景気の現状を示す一致指数は経済活動の再開を反映して前月比1・8ポイント上昇の76・2と2カ月連続で改善。来月発表する8月分では基調判断が上方修正になる公算が大きく、新政権発足直後の政策にも影響を与える可能性がある。
悪化判断は新型コロナウイルス流行前の令和元年8月分から続き、7月分でリーマン・ショック前後の平成20年6月〜21年4月を抜いて最長となった。
一方、景気に敏感に反応する経済指標から算出する一致指数は改善したほか、数カ月先の景気を映し出す先行指数も3・1ポイント上昇の86・9と2カ月連続で改善した。
緊急事態宣言の解除後、国内景気は夏の感染再拡大による鈍化はあったものの持ち直しをみせており、8月分の一致指数も前月比で上昇が見込まれている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、一致指数の過去3カ月間の平均値が一定基準を上回るなど基調判断の変更に必要な基準を満たすとして、「8月分の判断は『下げ止まり』になり、上方修正される可能性が高い」と予想する。
第2次安倍晋三政権では基調判断が発足直後の平成25年2月分で「悪化」から「下げ止まり」に上方修正され、国内景気は持続的な回復基調に入った。新政権でも発足直後の上方修正となればコロナショックからの底打ちを宣言しやすい。
自民党総裁選の本命候補である菅義偉官房長官は、早期の衆院解散・総選挙についてコロナ禍の状況次第だと含みを持たせており、政府の景気判断の動きには今後注目が集まりそうだ。