今年もノーベル賞の季節がやってきた。称賛する記事はほかに任せるとして、ここでは、同賞をめぐる“知られざる暗黒面”に焦点をあててみたい。
「脳をえぐり取った」史上最悪のノーベル賞
ノーベル賞の業績自体が、“暗黒面”と化してしまった例もある。有名なロボトミー手術がそれである。
ロボトミー手術は、脳の一部(前頭葉の白質)を切開し、神経経路を切断することで、患者の人格変容を図ろうというもの。
聞くからに恐ろしげだが、かつては統合失調症の治療などを目的に、1940年代から50年代にかけて、日本を含む世界中で行われていた。
この手術法は、ポルトガルの神経学者エガス・モニスによって開発され、アメリカ人の神経科医ウォルター・フリーマンと脳神経外科医のジェームズ・ワッツによって広められた。
フリーマンとワッツは、「ロボトミー」という言葉の名付け親にもなった。こうしてモニスは、ロボトミー手術開発の功績などにより、1949年、生理学・医学賞を受賞した。
ただ、容易に想像できるように、ロボトミー手術は脳に回復不可能なダメージを与え、深刻な後遺症を引き起こした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7558864ec770815c3ee4a2e91e98db3901c2d19?page=2