https://news.yahoo.co.jp/articles/76b05ea4f3f307b751294fc5be7cd0dc1606e949
中国人民解放軍、「マイクロ波兵器」すでに実用化か
中国の国営中央テレビは2月18日、インドに隣接する新疆ウイグル自治区の山岳地帯に、機動性に優れステルス性能を高めた戦車を配置したと報道。また、チベット自治区の駐屯地で、インドとの国境地帯に新たに配備される大砲を積んだ軍用車両が並んでいる映像も公開した。
それと相前後して、中国共産党機関紙の解放軍報(2021年2月19日付)は、昨年6月に起きたインドとの衝突により、中国兵4人が死亡したと初めて発表して、国境警備を強化する必要性を正当化した。
■ 中国政府に近い学者が言及した人民解放軍の「マイクロ波兵器使用」の実績
中印両国は1962年以来、国境をめぐる紛争が絶えず、未だに正式な国境線が画定されていないが、昨年6月の衝突については、イギリスのタイムズ紙(電子版、11月17日付)も、「中国、マイクロ波兵器使用か インド軍否定」という記事を報じたばかりだ。
記事によると、中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は講演の席で、標高5600メートルの地点にあるインド北部のカシミール地方のガルワン渓谷で、中国軍が8月29日にマイクロ波兵器を使用し、インド軍を山頂の陣地から撤退させたと発言した。金氏によれば、「この攻撃により、15分で山頂を占領していた全員がおう吐し、逃げた」とされる。
この報道について、インド政府が否定している理由は明らかではないが、中国政府は「ノーコメント」を貫いている。香港報道などを見ると、どうやら中国のマイクロ波兵器は実戦で利用できる段階まで進んできた可能性が高い。
米国の反応も気になるところだ。ロイター電(2020年12月3日付)によれば、米国のラトクリフ国家情報長官はロイターに寄稿して、「中国政府が米国や地球全体を経済、軍事、技術的に支配しようとしているのは明白だ」と指摘し、中国が軍の近代化を図るために米国の防衛技術を盗んでいると主張。「世界の民主主義と自由にとって、中国は第二次世界大戦後最大の脅威だ」と危機感を露わにした。
どうやら米国は、すでに中国がマイクロ波の兵器開発に成功した事実を掴んでいるようなのだ。
■ アメリカの大使館員が次々と原因不明の頭痛、めまい、吐き気に
マイクロ波を利用した対人兵器システムは、もともと米国企業が暴動鎮圧用に「非致死性兵器」として開発したもので、米軍はアフガンとの対立で短期間戦地へ持ち込んだが、使用しなかったともいわれている。
マイクロ波は、電子レンジや携帯電話に利用されることで知られているが、専門家によれば、95ギガヘルツのマイクロ波を照射されると、一瞬で皮膚表層が熱くなり、やけどこそしないものの、皮膚細胞の水分が沸騰して苦痛を与えるという。また、1〜6ギガヘルツのマイクロ波に長時間さらされると、人間の体内に到達して脳や内臓にダメージを与え、頭痛、吐き気、記憶障害、激しい倦怠感などを引き起こすという。微弱なため、当初は自覚症状がなく、外傷も残さないのが特徴だ。兵器化に当たっては、その出力と条件を研究することが課題だともされる。
マイクロ波を利用した疑惑は、過去にも二度例がある。
2016年、キューバに駐在していたアメリカの外交官とその家族、CIA職員ら44人が、頭痛、めまい、吐き気、目のかすみ、耳鳴りなどの症状が突然現れて、帰国したことがある。この時は、ロシアのマイクロ波による攻撃を受けた疑惑がもたれ、脳損傷をもたらす「ハバナ症候群」と呼ばれた。
2017年にも、中国の広東省にある米国領事館で、米国人外交官とその家族ら15人に同様の症状が現れて、即刻帰国した。当時、私はこの不可解な出来事が強く印象に残ったが、その後の報道は一切なく、遠い記憶となっていた。
ところが、昨年末、米国のNBCテレビの報道(2020年12月15日付)で、米国科学アカデミーが、長期間「ハバナ症候群」の原因を究明してきた末に、12月5日に研究結果を発表し、「指向性」(しこうせい)エネルギー兵器であるマイクロ波を使用した可能性が高いと結論付けた。また、ロシアではこの種の「重要な研究」が行われているとも指摘した。