https://news.biglobe.ne.jp/sports/0905/spt_210905_5367462360.html
堤礼実アナが選んだこの夏のマイベストレース「私には想像もできない偉業」
スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、堤礼実アナウンサーの連載『華麗なるウマ話』。今回は、夏競馬で最も印象に残っているレース、これから始まる秋競馬の注目レースなどについて語ってもらった——。
◆小倉2歳S、この穴馬が狙える理由
荒れるイメージが強い夏競馬ですが、今年も波乱のレースが多かったですね。私はそんな夏競馬が結構好きなので、終わってしまう寂しさを感じています。
でも、穴馬を探すのが夏の楽しみだとしたら、実力馬たちの真の力を味わうのが秋の楽しみ。見方はちょっと変わりますが、これからの競馬もやはり楽しみです。
今年の夏競馬でマイベストレースを挙げるなら、レパードSです
1番人気のメイショウムラクモが勝ったレースですが、それよりも、柴田善臣騎手の最年長重賞勝利記録(55歳10日)が更新されたレース、と言ったほうがわかりやすいでしょうか。一番印象に残っていますし、ただただ「すごいなぁ」と感心しながら、スタジオでモニターを見ていました。
現役最年長の柴田善騎手は、今年で騎手生活37年目。つまり、私が生まれる前から第一線で活躍されているということです。社会人6年目の未熟者には、想像もつきません。ジョッキーという仕事と真剣に向き合い続けてきたからこそ、成し遂げられた記録だと実感します。
しかも、勝利ジョッキーインタビューがまた素敵でした。
「100%関係者の力。私は乗っているだけですから」
この言葉を聞くだけで、柴田善騎手の謙虚さが生み出した記録なのだろうと想像ができます。インタビューに人柄が表れているというか、この偉業を成し遂げられた理由が、あの言葉に表れていたような気がしました。
記録はどこまで伸びていくのだろうと期待しながら、これからも柴田善騎手のことを応援します。
一方、いよいよ始まった秋競馬では、これから注目すべきレースが目白押し。日本ダービーを勝ったシャフリヤールをはじめ、春に活躍した馬たちがこの秋、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。
注目レースをひとつに絞るのは難しいですが、なかでもクロノジェネシスの凱旋門賞挑戦はすごく楽しみにしています。
『みんなのKEIBA』でもサンデーレーシング代表の吉田俊介氏のインタビューを放送。その際、鞍上はオイシン・マーフィー騎手に決まったという話がありました。コロナ禍にあって、日本にいる騎手が現地へ行くのは難しく、ヨーロッパにいる騎手に騎乗依頼することになったそうです。
とはいえ、マーフィー騎手は過去にJRAの短期免許を所得し、日本でも大いに活躍。日本競馬のことをよく知っているジョッキーですから、これは期待できますよね。
世界最高峰のレースである凱旋門賞において、日本で生まれて日本の厩舎で調教された馬に、日本で騎乗経験のある外国人ジョッキーが乗る。競馬を通して海外との結びつきが生まれるのは、すごく素敵なことだなと感じます。
日本人ジョッキーに凱旋門賞を勝ってほしい気持ちは、もちろんあります。でも、日本の競馬ファンにもお馴染みのマーフィー騎手が乗るならば、応援にも力が入りそうです。
また、同じくヨーロッパからは、イギリスオークスでディープインパクト産駒のスノーフォールが圧勝した、というニュースも入ってきました(その後、アイルランドオークス、ヨークシャーオークスも制覇)。
競馬の本場イギリスで、とんでもなく強い馬が出てきたなと血統を見たら、種牡馬は日本の馬でした。日本人として誇りに思いますね。この秋には、凱旋門賞に向かう予定もあるとのこと。クロノジェネシスとの対戦は、楽しみであり、複雑な思いもあります。
ともあれ、日本でも外国馬が活躍しているように、世界各国の競馬でいろいろな国の馬が集まって走るのはとても夢があります。ディープインパクト産駒は残り世代が少なくなってきていますし、ヨーロッパで活躍するスノーフォールには今後も注目していきたいです。
ディープインパクト産駒と言えば、7月に行なわれたセレクトセールでも話題になりました。ディープインパクトの最終世代となる4頭が上場され、うち1頭が3億円の高値で落札されました。
正直なところ、私にとっては額が大きすぎて、よくわからない、というのが率直な感想ですが(苦笑)、プロが見て、それだけの期待ができる馬なのですから、どんな走りを見せてくれるのだろうと、単純にワクワクしてきますよね。
セレクトセールのニュースを見ながら、「私が馬名をつけるとしたら」などと考えていたのですが、単なる妄想とはいえ、そういうことを考えるのは楽しいですよね。