『全否定』 与野党のけなし合い、派手だが支持層固めの守りの手法
10/26(火) 14:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/4db071cc7d14c6dcbb3f863dfa715d3adde14570
(一部引用)
たしかに安倍―菅と続いた8年間はひどかった。
公文書改ざん、国会での虚偽答弁連発などの倫理上の問題だけでなく、
株価だけを重視して格差を広げた経済政策、後手に回ったコロナ対応など悪政は目に余る。
ただ冷静に見えれば、そんな政権でさえ、米国の変人大統領ともうまくやり、
その米国の抜けたTPP交渉をまとめ上げた。
歴代政権が避けてきた消費税率引き上げも2度実施し、短命だった菅さんも
温室効果ガスの目標設定という業績があった。
有権者はこうした仕事を含めて丸ごとダメ出ししているようなリベラル野党の「全否定」に
違和を感じているのではないか。いやそれゆえに、彼らに託すのをためらっているのではないか。
無党派層の多くが求めているのは、マイナーチェンジだろう。
民主党政権の失敗も、すぐに違いを出そうと急ハンドルを切りすぎたからだ。
たとえば枝野幸男さんが
「私たちは安倍さんの外交努力は評価しているんです。路線は少し違うが、
私たちも米国とはうまくやっていきたい。憲法だって一字一句変える必要はないなんて思っていません。
国民の多くが納得感がある改憲をしたいだけなんです」と言ったとしたらどうだろう。
ごちごちの支持層には不評かもしれない。でも大票田である浮動票を振り向かせることにはならないか。
自民党との違いを出すのはその後でいい。
「それでも経済政策は変えていかなきゃならない。日銀の緩和政策はここまで来た以上、
急ハンドルは切れないけど、税制と財政政策で必ず中間層以下の所得は増やします。これだけは譲れない」
と言えば、保守層も聞く耳を持つだろう。
リベラル野党はあまりにもコアの支持者に気を使いすぎるのではないか。
無党派層が求めているのは「自民党的安定感」から「自民党の悪しき体質」を差し引いた良質な保守。
「全否定」では彼らは振り向いてくれない。
■ゾルゲかわはら(コラムニスト)
現代社会を街場から観察するコラムニスト。
金子ジムでプロボクサーを目指すも挫折。鮮魚卸売業、通信社記者、東大大学院講師を経て2019年からフリー
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