そのあとに続く、“I need you.”という歌詞の連呼。「First Love」が、日本語詞と英語詞の見事な融合で注目されたのに対し、「初恋」では、英語詞はこのワンフレーズしかでてきません。
「私にはあなたが必要です」。相手を人間として、本能から「必要」だと感じること。それが、宇多田ヒカルが20年目にして出した「初恋」の答えなのです。
宇多田ヒカルは、自身の創作のテーマを、他者とのつながりを求める中で、自分のなかの原体験…例えば親との関係が影響してくるのを、「何故なんだろう?」とひも解くことだと述べています。
前作のアルバム「Fantome」が、母の喪に服したアルバムだとすれば、今回は母の死を乗り越え、咀嚼し、そこからどう生命観を深めるかに重点が置かれたアルバム。
「私にはあなたが必要です」という思いも、彼女が生きてきたなかで、親や周りの育ててくれた人に思った、一番深いメッセージだった、という見方もできます。
初恋とは、そんな思いを相手に求めること。15歳の時に歌った大人な恋愛とはまた違った、自分の存在意義にまで向けられた深い深い思いです。
https://utaten.com/specialArticle/index/2972