政府は11月26日、35兆9895億円の歳出追加を盛り込んだ2021年度補正予算案を閣議決定した。しかしこれは経済対策実現のためばかりではなく、7738億円の追加防衛費も抱き合わせで盛り込まれていた。
中国の強大化や米中対立の現状に対処するため、哨戒機や輸送機、迎撃ミサイルなどの装備購入を前倒しするのだという。
補正予算を含めた予算額は、14年度の5兆885億円が21年度は6兆1160億円となり、7年で1兆円あまり増え、初めて6兆円台にのせた。これにより、防衛費は歴代政権が限度の目安としてきた国内総生産(GDP)の1%を超える規模となる。
自民党は今回の衆院選の政権公約で防衛費をGDP比2%以上とすることを念頭に防衛力強化を進めることを打ち出しており、衆院選を機に今後は防衛費の大幅増額が基調となりそうな勢いだ。
自民党の政権公約は、「政策BANK」という文書の中で「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指します」としていた。「周辺国の軍事力の高度化」に対応し、重大かつ差し迫った脅威や不測の事態を抑止・対処するため弾道ミサイル等への対処能力を進化させ、相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて抑止力を向上させる、というのだ。