「8050問題」をご存じだろうか。80代(高齢)の親が50代(中高年)のひきこもる子どもを支える状況を表したもので、現代の社会問題となりつつある。
内閣府が2019年に公表した調査結果によると、全国の40歳〜64歳の1.45%にあたる、推計61.3万人がひきこもり状態にあるとされる
その一方で、調査結果からはひきこもり状態の当事者が「家族に申し訳ないと思うことが多い」「生きるのが苦しいと感じることがある」という気持ちを抱えていること、将来の生活や収入に不安を抱えていることも分かっている。
生計を支える親が亡くなれば生きる術を失うかもしれない。現状を苦しいと感じてもいる。それでも、中高年がひきこもるのはなぜだろうか。
8050問題の名付け親で、この問題に長らく向き合ってきた、勝部麗子氏に実情を聞いた。
父親である80代男性からの「息子の家庭内暴力に困っている」という相談を受けました。ひきこもりの高齢化が問題化する以前のことです。
家を訪ねると、そこには父親と、不登校になって就職もできなかった中高年の息子がいて、誰にも相談することなく30年が過ぎていた実態がありました。
そこで父親から「僕たちはコップに満杯の水が入った状態でね。動かしたらこぼれるでしょう」と言われたのです。
刺激をすると家族に手が出たり、家の物が壊れたりするから変化を起こさないようにするうち、1年、2年、5年、10年…30年過ぎたというんです。その間、誰にもSOSを出せない状態だったと思ったとき、このような家庭が他にもあるのではと疑うようになりました
この父親が私たちに相談したのは、自分の身体が弱って「自分が死んだらこの子はどうなる」と思い始めたからだそうです。親が「80代」になってやっとヘルプを出す、その時の子どもはもう「50代」。
親が「自分はもう先がない」とギブアップするのが、80代くらいなのです。
世代間格差よりも増える大人の引きこもりが問題だと思います
https://www.fnn.jp/articles/-/227087