厚生労働省が「使用罪」の創設を目指し、規制を強めようとしている大麻。この大麻による健康被害はどれぐらいあるのか、日本で初めての大規模な実態調査が行われ、依存症と呼べるような状態の人は経験者の8.3%であることがわかった。学歴も一般集団とほぼ同じレベル。何らかの職や学業などについている人は約95%に上り、普通に社会生活を営みながら使用している実態も明らかになった。この調査結果をまとめた論文「SNSを活用した市中大麻使用者における大麻関連健康被害に関する実態調査第一報 」は12月24日、国内の査読学術誌『アルコール・薬物医学会雑誌』に掲載される。
厚労省は「今、大麻が危ない!」というサイトを作って、「人生を台無しにしてしまう」「社会生活に適応できなくなる」と恐怖を煽るキャンペーンを繰り広げているが、この調査結果とのギャップは何なのか。調査した研究グループの中心メンバー、医療用大麻の啓発団体「一般社団法人Green Zone Japan」代表の医師、正高佑志さんと、国立精神・神経医療研究センターの薬物依存研究部部長、松本俊彦さんに解説してもらった。
依存症は8.3%、使った直後に具合が悪くなり救護が必要な人は0.1%
まず、調査結果の概要を見てみよう。
調査は、過去に1回以上大麻を使用した経験がある人を対象とし、2021年1月21日〜2月3日、Green Zone JapanのSNSを使って回答の募集をかけた。オンラインの調査フォームを使って4138件の有効回答があり、回答者の82%は男性だった。
学歴は高校卒業未満が15.2%で、2012年国勢調査の18.8%とほぼ同等だった。また就労や就学などの社会生活を営んでいる人は94.7%に上った。
依存症と呼べる状態(大麻使用障害)の人は、経験者のうち8.3%で、現在使用している人では9.5%だった。裏を返せば、9割以上の人は依存症にはならず使用していることになる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ab6bcc20e61a72d230a01119b003771ea8c7c06f