「新型コロナウイルスの影響で営業活動が難しいのに、ノルマの未達成で解雇するのは違法」。兵庫県に住む元営業職の男性が、勤務していたソフトウェア販売会社(東京都)に地位確認などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は「合理的な理由を欠く」と判断し、解雇の無効や未払い賃金の支払いを命じた。1月28日付。
判決によると、男性は2020年2月、営業担当で入社し、ソフトウェアの販売先の開拓を任された。会社からは6〜7月に5件の新規契約を獲得するよう指示されたが、3件にとどまり、7月末に就業規則の「勤務成績が著しく不良」にあたるとして解雇された。
労働契約法では、労働者の解雇について「合理的な理由を欠き、社会通念上、相当と認められない場合は無効」と定める。解雇を巡る訴訟では、合理的な理由として重大な規則違反や違法行為などがあるかが問題になる。
会社側は訴訟で「男性が顧客への電話や訪問を怠り、成績向上の見込みがなかった」と主張していた。
藤村享司裁判官は判決で、入社後の4〜5月は感染拡大で、出社や顧客との対面での商談が禁止されていた状況を挙げ、「業務経験が少なく、その後も的確な営業活動は困難だった」と指摘。勤務成績は7月に改善の兆しがあったとし、会社の対応が「解雇権の乱用」にあたると認定した。
会社の社長は取材に対し、「控訴はしない。金銭的に解決できるよう対応したい」と話した。
厚生労働省によると、コロナの影響で解雇や雇い止めとなった労働者は、20年2月からの累計で12万4715人(今年1月21日時点、見込みを含む)に上る。業種別では、製造業や小売業が多い。
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