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寒くなるとトイレが近くなるのはなぜ? 「頻尿」とは違うの?
寒い季節になると、「トイレが近くなる」という人もいるのではないでしょうか。中には、「冬場は1時間に1回、トイレに行っている気がする」という人もいるようで、「どうして冷えるとトイレに行きたくなるの?」「頻尿とはどう違う?」など、疑問の声も少なくありません。
寒さを感じるとトイレが近くなるのはなぜなのでしょうか。鶴泌尿器科クリニック(浜松市)の鶴信雄院長に聞きました。
皮膚のセンサーが冷えを感じると尿意に
Q.そもそも、「トイレが近い」とはどういう状態を指すのでしょうか。
鶴さん「1日の正常な排尿回数は7回以下です。従って、1日8回以上になると、『頻尿』、いわゆる『トイレが近い』状態といえます。なお、夜間は1回でもトイレに起きれば『夜間頻尿』になりますが、夜間に1回も起きない70歳以上の男性は1割以下で、1回は起きるという人が大半です。そのため、治療の対象となるのは『夜間2回以上起きる人』です。また、季節などに関係なく、短期間で急にトイレが近くなった場合には、泌尿器科疾患(後述)が関連している可能性があります」
Q.寒い季節や、体が冷えを感じたときに「トイレが近くなる」ことがあるのはなぜですか。
鶴さん「手を洗おうと水を触ったときに、トイレに行きたくなったことはありませんか? 皮膚には冷えを感じるセンサーがあり、このセンサーが刺激されると、少ない尿量でも尿意を感じやすくなります。こうした症状がさらに強くなり、我慢ができなくなると『過活動ぼうこう』という病気の可能性が考えられますが、この前段階では、冷えを感じて『寒い!』となった瞬間に、我慢はできるもののトイレに行きたくなるのです。また、寒さで交感神経が刺激されたときにも尿意を感じやすくなることが分かっています」
Q.冷えることでトイレが近くなることと、病気としての「頻尿」はどう違うのですか。
鶴さん「頻尿で見つかることがある病気は、ぼうこう炎や前立腺肥大症、尿管結石といった良性の病気から、ぼうこうがんや前立腺がんといった悪性の病気までさまざまです。頻尿以外の症状として、排尿時の痛みがある▽血尿がある▽尿が出にくい▽腰の痛みがある―などの症状がみられるようなら、単なる寒さによる頻尿以外の可能性があるので、泌尿器科を受診した方がよいでしょう」
Q.寒い季節にトイレが近くなるのは、誰にでも起こり得ることなのでしょうか。
鶴さん「男女とも、高齢になるほど頻尿になりますが、男性の方がその割合は高くなります。水分をたくさん取っている人、不規則な生活を送っている人、不眠症の場合などもトイレが近くなります。また、塩分の取り過ぎやメタボリック症候群も頻尿と関係しますし、高血圧や糖尿病、心不全でも尿量が増えて頻尿になることがあります。
目安として、まずは自分の尿の色を見てみましょう。透明な水に近い色なら、頻尿ではなく、多尿、尿の量が多い可能性があり、食事や飲み物などで水分を取り過ぎていると考えられます」
Q.冷えることでトイレが近くなる現象について、病院で治療はできるのでしょうか。また、自分でできる予防法はありますか。
鶴さん「泌尿器科では、先述のような他の病気がないかどうか、尿検査や超音波検査などで調べますが、他に病気がない場合は、頻尿症状を和らげる薬を使うことがあります。同時に、水分制限や生活習慣の見直しも必要です。
予防法としては、冷え性の人は足先を温めたり、下肢の屈伸運動やストレッチ運動をしたりして、血流をよくするといいでしょう。『青竹踏み運動』もその一例です。また、家の中でも、部屋と通路とトイレの寒暖差をなくすといった環境整備も効果があります」