新車が深刻な品薄、納車半年待ちも 中古車平均額は初の100万円台
新年度に向け車が品薄になっている。コロナ禍や半導体不足で生産が遅れ、納期に半年以上かかるものもある。新車の代わりに中古車が人気で価格は過去最高の水準だ。原材料の高騰で値上げする輸入車も相次ぐ。ロシアのウクライナ侵攻もあり、買いにくい状況が長引く恐れもある。
新車の品薄の大きな要因の一つは、自動車部品の供給の混乱だ。
コロナ禍によって世界各地の部品工場で、生産が落ち込んでいる。「ワイヤハーネス」と呼ばれる電線の束などつくるのに人手がかかるものが、特に足りなくなっている。
コロナ禍では、半導体を使う電子機器の必要性が高まった。半導体は工場をつくるには時間と費用がかかることもあって、すぐに増産することが難しい。いまの自動車部品には多数の半導体が使われている。十分に確保できないと、部品をめぐる混乱は続く。
部品不足を受けて国内の大手自動車メーカーでは、工場の操業の一時停止や、生産ラインの縮小などをした。国内自動車大手8社の1月の世界生産は、前年比9・8%減の計191万7千台で、7カ月連続の減少だった。
減産は販売の現場にも波及していく。販売店では納車まで3〜6カ月かかるものもめだつ。
トヨタ自動車がホームページで公表している「工場出荷時期目処(めど)」によると、注文してから3カ月以上かかるものが多い。人気の小型車アクアは「5〜6カ月程度」としている。
ホンダも小型車フィットの出荷目処は4カ月程度となっており、ほかのメーカーでも生産は遅れ気味だ。
スポーツカーやSUV(スポーツ用多目的車)の一部では、納車まで1年以上かかるものもある。車種によっては、買いたくても予約が受け付けられないケースもあるという。
メーカーは部品の調達先を分散するなど対応を急ぐが、混乱の解消には時間がかかりそうだ。
宮城県、福島県で最大震度6強を観測した3月16日の地震による影響もある。複数の部品会社が被災し、トヨタ自動車やスバルなどの工場が一時止まった。工場の生産は再開しているが、部品の調達難は一部で続いている。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ3X5VPSQ3VULFA00L.html