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痩せている人ほど危険!? 医師が語る“糖尿病のサイン”と正しい見わけ方
糖尿病は太っている人や中高年の病気だと思っていないだろうか。だが痩せている人にも、若い人にも糖尿病のリスクはあるのだ。
「糖尿病は痩せている人ほど厄介な病気。正しい知識を持っておくことが大事です」と警鐘を鳴らすのは、医師の水野雅登先生だ。
――まずは改めて、糖尿病ってどんな病気なのでしょう?
インスリンが十分に働かないため、慢性的に高血糖になる病気です。予備軍も含めると日本人の6人に1人は糖尿病で、30代からなる人もいますし、40代からグッと増えてくる病気です。
――6人に1人とは、思ったよりも多いですね。
怖いのは合併症で、「網膜症」「腎症」「(糖尿病性)神経症 」の大きく3つがあります。
網膜症になると失明します。腎症は腎臓の機能が弱くなり、人工透析を受けることになる。
神経症は手足が痺れたりします。その結果、足先が膿んで腐って初めて受診される方もいらっしゃいます。 普通の人ならすぐに治る傷も、糖尿病患者は血流や免疫が落ちているので悪化しやすいんです。
――腐るんですか!? それはいくらなんでも気付きますよね……。
いえいえ、神経がやられていて痛みを感じないので、なかなか本人は気付かないことも多い。おかしいぞ?と思って、病院に行くとすでに末期のことが多々あります。
――そこまで重症にならないとわからないものでしょうか?
太っている人が、食べている量も増えていないのにさらに太り始めた場合は、糖尿病が進行していることが考えられますが、実は糖尿病は自覚症状がほとんどないんですね。
強いていうならば、口渇、多飲、多尿と言って、口が乾いて、いっぱい水分を飲んで、トイレによく行くという症状ですが、気付かない人がほとんどです。
――確かに口が乾くぐらいじゃ、気付かないかもしれません……。
もうひとつの方法は血液検査ですが、最近の健康診断ではコスト削減で検査項目を減らす傾向があって、「血糖」だけしか調べないところも多い。だけど糖尿病で確認していただきたいのは「ヘモグロビンA1C(HbA1c)」の値です。オプションでつけられることもあるので、ぜひ加えてほしいですね。
ただし、検査結果で糖尿病の疑いが出ているのに、放っておいて重症化させる人も結構いますので、きちんとチェックしてください。
――ヘモグロビンA1Cの値はどのように見ればいいでしょうか?
下記の指標を目安にしてください。
HbA1c値が5%後半:将来糖尿病発症のリスクがある
HbA1c値が6〜6.4%:糖尿病予備軍
HbA1c値が6.5%以上:糖尿病
HbA1c値が8%以上:重度の糖尿病(コントロール目標値以上)
――予備軍のうちに、対処すれば糖尿病にならなくてすみますか?
糖尿病が治っているかどうかの判断は非常に難しいところがあります。まず、ヘモグロビンA1Cの数値自体は生活習慣を見直せばすぐに改善できます。
ただ6.5%を超えると、糖尿病と診断された段階で、インスリンを分泌する膵臓の細胞の1〜2割ほどが死んでいる可能性があります。こうなると生活習慣が悪くなれば、すぐに糖尿病になります。
6%を超えると膵臓の細胞が死に始めますので、5%の後半から気を付けた方がいいでしょう。
――生活習慣はどうしたらいいでしょう?
まずは適度な運動。よく「10分のウォーキングでもいい」と言われますが、これはおすすめしません。なぜなら同じ時間を運動に割くのであれば、筋トレの方が圧倒的に効率的だからです。
ただし、糖尿病の人は関節がボロボロになっている人も多いので、いきなり激しい運動を行うのはNG。 関節への負担が少ない方法で筋トレをしてください。
そして食事。 タンパク質を体重(kg)と同じグラム数以上は摂りましょう。体重50kgの方なら、1日に50g以上です。糖質は控えめに。糖質を食べるなら、脂質も控えめにしてください。 特に鉄分はしっかり摂ってほしいので赤身の肉などを食べるようにしましょう。
ただし、痩せているのに糖尿病の疑いがある人は要注意です。
――痩せている人でも糖尿病になるんですか?
実は痩せている人の方が厄介です。
痩せている人の中には、膵臓機能の低下によって、インスリンを十分に出せない人がいます。その場合には、少量の糖質でも血糖値が上がりやすい。
糖尿病の疑いがある場合、太っている方は糖質を減らせばいいので簡単ですが、痩せている人が糖質を制限しすぎると、ますます痩せて、筋肉や臓器がボロボロになってしまう。
糖質はある程度摂って、赤身肉など、動物性タンパク質も積極的に摂るようにしましょう。
――お酒はやっぱりダメですよね……。