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量子テレポーテーションでは、もつれ状態の2つの粒子がそれぞれ反対の状態で重なり合っていると考えます。
例えば、電子スピンなら右回転と左回転の2つの状態を2つの粒子が重ね合わせて持っている状況です。
このとき、片方の粒子を観測すると、もう片方の状態が確定します。
もし観測した電子のスピンが右回転だったら、もう片方の電子のスピンはその瞬間に左回転に決定されるということです。
最初から決まってたんじゃないの? と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。見た瞬間に決まるのです。
そのため、観測されていない方の電子は、双子の電子が観測されてどっちの状態だったのか? という情報を、光の速度を超えて瞬時に受け取ったことになります。
これを量子テレポーテーションと呼びます。
通常この手のお話しは、情報送信者であるアリスが、ボブに情報を送ろうとした場合という例え話で説明されます。
イギリスのアリスが、日本にいるボブにもつれ状態の電子の片方を送り、その後観測結果を伝えた場合、ボブは電子を見なくてもその状態を知ることができます。
ただ、これだけだと何がスゴイのかまるで意味がわかりません。
量子テレポーテーションは単品で使っても何の意味もないのです。
これだといちいちもつれ状態の粒子をやり取りする必要もありません。
そこでアリスは、もつれ状態となった2粒子の片方をさらに別の粒子と絡め合わせます。
この別の粒子こそが本来送信したい情報である量子ビットです。
そしてアリスは、この2粒子を見分けがつかない状態で観測します。これをベル測定といいますが、その結果をボブに古典通信で伝えるのです。